映画『サーミの血』試写の招待

c0166264_1457924.jpg2016年の東京国際映画祭で賞に輝いた映画『サーミの血』が、今秋、劇場公開される。

それに先立つ9月8日、ノルウェー王国大使館で先行試写会が催される。参加者を公募しているので、希望者は下記から応募を。

【9/8試写会ご招待】映画『サーミの血』一般先行試写会 in ノルウェー王国大使館

映画『サーミの血』のストーリーは:
1930年代、スウェーデン北部のラップランドで暮らす先住民族、サーミ人は差別的な扱いを受けていた。サーミ語を禁じられた寄宿学校に通う少女エレ・マリャは成績も良く進学を望んだが、教師は「あなたたちの脳は文明に適応できない」と告げる。そんなある日、エレはスウェーデン人のふりをして忍び込んだ夏祭りで都会的な少年ニクラスと出会い恋に落ちる。トナカイを飼いテントで暮らす生活から何とか抜け出したいと思っていたエレは、彼を頼って街に出た──。(上記ホームページ)

サーミは、Sami。昔ラップ人と呼ばれていた。ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアの北部に居住する先住民族で、サーミ語を話す。ノルウェーのサーミ人は北部フィンマルク県に多く住む。

いま、ノルウェーは平等と福祉の国として名高い。ノルウェーでは、どんな所に住んでいようと福祉や教育を平等に享受できる権利が保障されていると聞いた。そこで私は、最北の地フィンマルク県の北極に近いいつくかの町を訪ねた。これまで何度か訪問し、数多くのサーミ女性を取材してきた(注)。

思い出すのは、「すごい!」と今でも感嘆したくなる力強い女たちの顔、顔、顔。

キルケネスがあるセル=ヴァランゲル市の女性議員で後に市長となったセシリア・ハンセン。
ドキュメンタリー映像作家でサーミ文化に造詣の深いトーリル・オルセン。
カラショーク市長に当選した銀行員アンネ・トーリル・エリクソン・バルトー。
女性初のサーミ国会議長をつとめた「ノルウェー・サーミ協会NSR」会長のアイリ・ケスキタロ。
サーミ高校校長で議員のエレン・インガ・ブリータ・オーラフスドッテル・ヘッタ。
サーミ特産品を扱う雑貨店店主で議員のインガー・マリ・ボンゴ。
サーミの女性誌『ガバ』創刊者で編集者のグッドルン・エリクシェン・エリーサ・リンディ。
サーミ女性初の出版物『死か生か:ラップ人の現状についての真実の言葉』を出した女性運動家エルサ・ラウラ・レンベルグ(1877-1931)。

サーミ人ではないようだが、鉄鋼会社に労働組合を創設した女性で、サーミの暮らしを撮影し記録した写真家エリシフ・ヴェッセル(1866-1949)も忘れられない。彼女のとった白黒写真を博物館で見て、20世紀初めの貧しいサーミ家族の姿を私は知った。

かつては、教育どころか、言葉や文化を根こそぎ奪い取られた先住民サーミ。しかし、長い闘いの末、議会に議員を送り出し権利を勝ち取っていった。その闘いぶりは、世界の先住民権利運動のモデルとなっているとも聞いた。

映画『サーミの血』は、どんな文化や風景を見せてくれるのだろう。本当に楽しみだ。

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 ▲「サーミ語」(上)と「ノルウェー語」が書かれているチーズ売り場。ノルウェー・フィンマルク県のスーパーマーケット。

【注】ノルウェー王国大使館ホームページなどに公表された。そのなかで現在もネットで読めるルポルタージュは:
極北の町を見捨てない国(pdf)
酪農をとるか市長をとるか(pdf)
むかし魔女、いま大臣(pdf)
庶民の足元に根をはる政治(pdf)

FEM-NEWS記事は:
先住民サーミのファイトバック
ノルウェー地方選レポート4:北部ノルウェーを支えるサーメ女性たち
映画「カウトケイノの叛逆」
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by bekokuma321 | 2017-08-02 15:30 | ノルウェー