報告「なくせ女性ゼロ議会 増やせ女性議員@群馬」

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4月15日、群馬で「議会に女性を増やそう」というシンポジウムが開かれた。

群馬県富岡市にはひとりの女性議員もいない。富岡市にある富岡製糸場は、明治の殖産興業政策のシンボルだ。それを支えたのが群馬県内ばかりか、全国からやってきた若い女性たちだった。

1873(明治6)年、富岡製糸場に、日本の30県から女性たち約1000人がやってきた(今井幹夫「富岡製糸場総合研究センター」所長)。長野からは4日間の長旅だったと、和田英著「富岡日記」は記す。和田英は10代だった。なかには9歳の少女もいたとか。

故郷を離れて寄宿舎に住んで忠実に働き続けた女性たち。彼女らの手で紡がれたのが生糸。それが明治の日本の輸出産業を支え、日本経済を潤した。

144年後の4月15日、30県とはいかないが、北海道、徳島、新潟、宮城、愛知、長野など遠方から女性たちが参加した。「かかあ天下」の上州になんでこれほど女性議員が少ないのかといぶかしく思ってかけつけたという人も。

パネリストは群馬県女性7人(注1)。超党派の女性議員に加え、男女平等の運動家や専門家たち。みな女性議員を増やさねば、と発言した。

「人口の半分を占めているのだから、女性がもっと議会にいて当然」
「超少子高齢者社会は女性自身の問題。当事者の女性が決める場にいなくては」
「女性のいない政治風景は、ロールモデルとして議員を選べない女子学生をつくる」
「女性特有の相談や苦情を政治の場に届けられるのは女性」

しかし、壁は厚い。何が議会への女性進出を阻んでいるか。

「群馬県特有の『政治は男のもの』的慣習」
「長いムラ社会のしがらみ」
「育児、家事など無償労働の負担」
「仕事を辞めての立候補はリスキー」
「選挙に打って出る度胸がない」
「嫁が夫をさしおいて出られない」

など、いくつもあがった。実際、群馬県は、自治会会長についている女性が日本で最も少ない(内閣府調べ「自治会長に占める女性の割合」)。

では、その厚い壁をどう突き崩すか。

「女性同士のネットワークを活用する」
「しがらみのないよそ者が出る」
「女性が政治に関心を持つような研修の場を増やす」
「女は男の後でいいとする学校の性別名簿や、公立学校の男女別学が残っている風土を変える」
などが出た。

基本的に議員候補者擁立にかかわるのは政党や政治団体だ。女性議員を増やすには、政党や政党団体が、どれだけ女性候補擁立に本気になるかだ。実際、東京都議選の報道を見ても、主要政党の候補者には女性はきわめて少ないようだ。女性候補がきわめて少なかった場合、政党はどんな具体策をとるのか、つまり女性候補擁立に向けてどう党の制度を変えるかが問われる。そこまで議論が深まらなかったのは残念だった。

最後に採択された「群馬宣言」を次に掲げる(Moreをクリック)。日本の地方議会に占める女性議員は約10%、しかも約350自治体が女性ゼロ議会である。それを考えると群馬宣言と名付けられているものの、全自治体にあてはまりそうだ。



  ■■■■■■ 群馬宣言 ■■■■■■ 

私たちは、女性議員を増やして平和と平等に満ちた民主主義社会をめざそうと、ここ群馬県高崎市に集まりました。

「かかあ天下と空っ風」ーー上州は養蚕業が盛んで、この仕事は女性が行うため一家の経済的主導権が女性にあることが多く、女性の発言力もありました。今よりもずっと男社会の江戸時代において、上州には自らの判断で離縁状を出し、自らの収入で慰謝料を支払う女性もいたほどです(注2)。

現在の群馬県はどうでしょうか。上州の養蚕業の中核を担ってきた富岡製糸場のある富岡市には女性議員が一人もいません。富岡市を含む「女性ゼロ議会」は9自治体にのぼります。

また、女性議員がいたとしても、11議会が「紅一点」であるなど人数がきわめて少なく、議会において存在感を示すことができません。「かかあ天下」と言われた群馬県の政治の世界は、女性の力が発揮されず、嘆かわしい現状にあります。

私たちは、超少子高齢化、格差や貧困、環境汚染、エネルギー問題、戦争の危機など深刻な課題を抱えています。とりわけ子どもの6人に1人が貧困状態にある現状には胸がつまります。

男性の政治は公共事業などの「ハード」な政策に偏る傾向にありますが、女性の政治は生活に根ざした「ソフト」な政策に重きをおく傾向にあるといわれています。今抱える課題を解決していくには、女性議員を増やして女性の知恵や経験を政治に生かしていくことが必要不可欠なのです。

しかしながら、日本における女性の政治参画は著しく遅れています。

女性には、家事や子育て、経済的な問題、周りの理解、因習など、男性に比べて大きな障壁があります。こうした障壁を女性が乗り越えやすくするため、世界各国は、候補者・議席の一定比率を女性に割り当てる「クオータ制」を制定しており、フランスは「議員や公職の男女同数法」(パリテ法)を成立させています。

日本でも、ようやく、今国会に、「政治分野における男女共同参画推進法案」が提出・審議され、可決されようとしています。この法によって、政党は候補者数を男女均等に擁立することや、国や自治体は政治分野の男女共同参画推進の施策を充実させることが、努力義務とはいえ、明文化されました。

今日ここに集まった私たち、そしてこれから集まる女性や男性、すべての政党、教育現場、行政、グループなど様々な人や組織が、連帯して障壁を乗り越え、まずは上州群馬において、唯一の「女性ゼロ市議会」である富岡市に女性議員を誕生させ、ならびに県内に女性議員をもっと増やすために共に歩んで行くことをここに宣言します。

2017年4月15日 
 
シンポジウム「世界遺産のまち 白鳥のまちに女性議員を! なくそう女性ゼロ議会、増やそう女性議員!」 参加者一同 (注3)

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【注1】赤石あゆ子(弁護士)/ 小川 晶(群馬県議、民進党)/ 小林光代(富岡女性懇談会代表)/ 長谷田公子(共産党役員、市議会議員)/ 堀地和子(伊勢崎市議、自民党)/ 前田由美子(ヒューマン政経フォーラム理事、館林市女性リーダー養成講座講師)/ 山崎紫生(市民の時代を創るぐんまの会代表)
【注2】「上州のかかあ天下」(中島明著、農業協同組合新聞、2005.1.20)
【注3】宣言文朗読は木村香織(生活クラブ生協理事)&中島輝男(高崎市議)

【写真:「パリテ!」と叫ぶパネリストと参加者有志。4月15日シンポジウム終了後。川越市議会議員いとう正子提供】
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by bekokuma321 | 2017-04-16 17:27 | その他