2017年 04月 04日
ノルウェー判決「非正規雇用の賃金は正規と同一にせよ」
ノルウェーの裁判所が、「非正規労働者にも正規雇用者と同じ賃金を支払え」という判決をくだした。
4月3日、労働裁判所から出た画期的な判決だ。さすがノルウェー。エイプリル・フールの話ではない。非正規雇用にも、正規雇用と同一賃金、同一条件でなければならないというのだ。ノルウェー紙には、労働組合の完勝とも書かれている。
判決文は以下のようなもので、ノルウェー労働裁判所の判事7人による全会一致だ。
「合意した産業条約8A条の6、7項は、製造業協定に規定されている派遣会社(staffing agencies) に雇われているいかなる人も、雇う会社(hiring companies)の雇用者と少なくとも同一賃金ならびに同一労働条件に置かれる、と解釈される」
連合傘下にあるフェルスフォーブネ(労働組合のひとつ)の書記クヌート・ウイガールは喜びを隠し切れない。「とてもうれしい。(賃金だけでなく労働条件も同一だから)派遣会社内で労働組合の仕事をしてもいいことに、ほっとしてもいる」
賃金と労働条件に関して、派遣会社は、2016年4月から施行の新関税期間における産業協定に規定される、または、昨年改正された労働環境法の特別条項に規定されているように各々で結ばれる団体協定に規定される、そのどちらかである、とすることに、ノルウェー経営者連盟(経団連のような機構)は、異議を唱えていた。
わかりにくいが、要するに、「非正規は正規職より低賃金でも合法だ」と、経営者側は主張していた。
規則は、EUからの雇用会社指令に関連して提出されていたもので、労使でその規則の解釈がまったく異なっていたため、労働裁判所に提訴されていた。
このたび労働裁判所は、いかなる場合であっても労働者法が適用されるという2012年の双方の合意があり、それは疑う余地がないと結論づけた。
経営者連盟の関税と会員サービス部部長のニーナ・メルソンは、「協定をどのように理解すべきかを理解した」とコメントしている。
ニュースにある労働裁判所だが、労働に関する紛争を扱う特別の裁判所のこと。労働事件はとくにスピーディさを求められるからといわれている。ノルウェーだけでなくヨーロッパの多くの国にある。日本にはこのような裁判所はなく、労働事件であっても通常の裁判所でダラダラと扱われる。そのため日本では、働く場を奪われた労働者は、弁護士費用や交通費など経費だけはかさみ、給与は支払われない事態におかれることが多い。
■Temporary workers to have the same salaries as employees – full victory in court
■判決文(saken gjelder:Likebehandlingsreglene ved fra bemanningsforetak bundet av Industrioverenskomsten ノルウェー語)
■Fikk fullt medhold i Arbeidsretten
■Vikarer skal ha samme lønn som ansatte
■世界一幸福な国ノルウェーの女性たち
■LGBTが最も幸せに働けるのはノルウェー
■ハンディをハンディと感じさせない社会へ
■ノルウェーの「ベスト清掃員賞」
■ダウン症の人には「何でもやれる能力がある
■女性や若者を非正規にしないためにゼネスト
【注】本意ではないがVikarを非正規と訳した。ノルウェー語のVikarは、臨時雇用のことで病欠、産休、育休、教育休暇などで職務免除となる雇用者の代行をする。非常勤雇用は常勤雇用と同一労働同一賃金であるとすでに認められているので、このたびの紛争は人材派遣機関から派遣される臨時的労働者のケースであろう。報道によるとVikarは移民が多くを占めており、今回の判決は移民の人権保障につながり移民格差解消への一歩となるという。