2017年 04月 03日
群馬県館林市「女性ゼロ議会」脱出
月2日の市議補選で渋谷理津子候補
(写真)が当選したのである。
館林市は8万人近い住民がいるにもかかわらず、女性議員が誰もいない「女性ゼロ議会」だった。
渋谷候補は、前市長の死去にともなう市長選と市議補選において、市議補選に立候補。市長に当選した須藤和臣元県議の17965票と、ほぼ同じ17142票を獲得した。
渋谷候補は、館林市役所に38年間勤務し、退職後は訪問介護職員。公約は「家庭や職場でフル活動している女性の思いを市政につなげます」。
渋谷候補の選挙事務所を預かるお連れ合いは、当選について「何かが動いたんですね」とうれしそうに私に語った。
「立候補は一人で決めました。僕は反対したのですが、それでも降りない。いさぎよい挑戦でした…」。選挙事務所を実際に回したのは、お連れ合いのようだ。彼の話をまとめると、渋谷さんの立候補の動機は、①風通しのよい市議会にしたい、②次につづく女性のために風穴をあけたい、というものだ。
「市長候補とコンビを組んでいた市議候補は、自民党群馬県の青年部の役員だと聞いています。組織選挙だったと思われます。うちは組織なし。所属する『八木節保存会』のメンバー5人がまず支えてくれました。ええ、全員女性です。それに市役所の元同僚たち5人が加わりました。この10人の女性たちが選挙運動メンバーです」
これまで群馬県は、富岡市と館林市を含む10自治体に、女性議員が誰もいなかった。そんな「嘆かわしい現状を変えたい」と、この4月15日シンポジウムが開かれる。「世界遺産のまち、白鳥のまちに女性議員を! なくそう女性ゼロ議会、増やそう女性議員」。世界遺産のまちは富岡市、白鳥のまちは館林市のことだ。
その準備で忙しくしている真っ最中に、「白鳥のまち館林市」が女性ゼロ議会を脱出して、「女性ゼロ議会」の市は富岡市のみとなった。準備に携わる、かがや富士子群馬県議は「15日、渋谷さんが、ぜひ参加して、みなを励ましてほしい」と語っている(注)。
【注】群馬県の市で「女性ゼロ議会」は富岡市のみとなった。しかし、まだ8町村が女性ゼロ議会である。それに、女性議員1人の「紅一点議会」は群馬県内10市町村にのぼる。ちなみに、全国の町村議会928のうち「女性ゼロ議会」は299議会、つまり約3分の1の町村は、男性議員のみで政治が行われているのである。(全国町村議会議長会、2016年7月1日現在)