トランプ効果

アメリカの大統領選は、トランプ候補の当選に終わった。実はクリントン候補が180万票ほど多く取った、にもかかわらず。

選挙制度のせいである。各州で1票でも多くとったほうに選挙人全員が割り当てられるため、トランプの選挙人は300人以上。過半数270人をはるかに越える。たとえば、ある州でトランプ50.1%、クリントン49.9%だったとすると、その州の全ての選挙人は、トランプに回って、クリントンには1人も行かない。

死に票がごっそり出る選挙制度だ。無慈悲にも、「勝者総取り方式 Winner take all」と呼ばれているらしい。

選挙制度が歪んでいる上に、アメリカでは、投票集計に何か問題があったのではないかという疑いが浮上している。ウィスコンシン州、ミシガン州、ペンシルベニア州の3州で、票の数え直しの要求があり、実際、ある州では再集計が行われているという。

c0166264_20362446.jpg一方、トランプ候補の女性差別、人種差別、イスラム差別、同性愛差別に対して、反トランプ・デモが続けられている。11月8日だけで、全米30市、16大学で大きなデモがあった(Wikipedia)。アメリカ国外にも広がっている。

おもしろいのは、北欧ノルウェーだ。

大統領選の結果がわかった11月8日、ノルウェー労働党はただちにデモをした。スローガンは、こうだ。

「今朝のアメリカの選挙にがっかりしているあなた。来年の9月12日はがっかりしないように」

「投票日まで300日。新しい政府に変えよう」

トランプ当選のような悪夢をみたくなかったら、選挙で態度を示そう! なるほど「民主主義度、世界一の国」の国民は考えることが違う。

このデモに呼応するかのように、労働党を先頭にほぼすべての左派政党で党員数が伸びていると、報道されている。現在ノルウェーは保守党を軸とする右派政権であり、労働党は野党だが、今、選挙をしたら、左派92議席、右派72議席と、左派中道政権に戻る。トランプ効果だ。

ここで強調したいのは、ノルウェーには解散がないことだ。国政選挙は4年ごと。9月の月曜日と定められている。選挙のある年の前年暮れには政党が候補者を決めて、メディアで公開される。そう、ちょうど今頃、来秋の選挙の候補者が決まる

9月の選挙では、投票者は政党を選ぶ。だから、候補者個人が、顔や名前を売ったりする必要は全くない。これから9月まで300日。その間、じっくりと時間をかけて、政策を伝えては論争をして、党員を獲得する。これがノルウェーの選挙運動だ。もちろん、選挙期間はない。こういう選挙だから、育児休業中の女性も当選できる。

日本は、小選挙区制という死に票の多い選挙であるうえ、選挙期間が驚くほど短い。それに首相に解散権があるため、選挙日程はギリギリまでわからない。突然の解散・短期決戦となると、現職が有利なのは目に見えている。新人ーーとりわけ女性には新人が多いーーは、有名タレントか世襲でない限りほぼ絶望的だ。

日本の女性の国会議員数は世界で最低ランクだが、この制度が続く限り、女性議員を増やすことは、これまた絶望的だ。

制度を変えるのは容易ではない。でも、イギリスを除く多くのヨーロッパ諸国は、比例代表制に移行している。ノルウェーは、100年ほど前に小選挙区制を捨てて比例代表制にした。元祖小選挙区の国イギリスでも小選挙区制への不満がわき起こっているという。


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▲ノルウェー国会の前で遊ぶ小学生

豊かさとは
世界一民主的な国
イギリス6割が選挙制度改革に賛成
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by bekokuma321 | 2016-11-26 21:47 | ノルウェー