白人男性大統領の陰にある「勝者総取り」「隠れトランプ」

アメリカ大統領選が終わった。

大方の予想は、ヒラリー勝利に傾いていた。アメリカに住む友人は、「黒人を大統領に選んだ国が、次に女性を大統領に選ぼうとしている」と喜びを書いてきた。しかし、彼女の喜びはあえなく消えた。

アメリカは、白人男性を選んだ。しかも、その白人男性は、何人もの女性からセクハラをされたと訴えられたり、女性を体で値踏みしたり、障害を持つ記者の格好を真似て馬鹿にしたり、メキシコ人を「強姦魔であり、犯罪者だ」と言ってのける人物だ。

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   ▲得票数で、青のクリントンが赤のトランプより多かった

その選挙の総得票数を見ると、青のクリントン59815018票、赤のトランプ59611678票。クリントンが上回っている。ところが、当選したのはトランプだという。

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    ▲各州から選ばれた選挙人は青のクリントンより赤のトランプが多かった

アメリカの大統領選の選挙制度のせいだった。有権者は、各州に割り当てられた「選挙人」を選ぶのだが、各州で1 票でも多く票をとったほうが、その州の選挙人を全て獲得できる。「勝者総取り」とりいうものだ。「勝者総取り」とは、なんともアメリカらしいが、その結果、選挙人の数はクリントン228人、トランプ279人と出、トランプ当選となった(11月10日現在)。

この選挙で、トランプに投票した人100人につき1人がクリントンに投票したらどうなったか。クリントン票が2%増え、クリントン307人、トランプ231人になったという(What A Difference 2 Percentage Points Makes)。

この100人につき1人をクリントンからトランプへ移しただろう張本人は、FBIのコーミー長官だと私は思う。彼は、選挙運動がピークに達する10月末、ヒラリー・クリントンの新しいメールを調査すると発表した。ただちにトランプは「クリントンは犯罪者だ」と吠えまくった。当然クリントンの人気が急降下した。1週間後、FBI長官はクリントンを訴追しないとした。

が、このメール騒動はクリントンへの票を減らした可能性がきわめて高い。実は、このコーミーFBI長官は、なんのことはない、長年の共和党員だった。トランプは共和党の候補だ。

民意を反映しない選挙制度、共和党員歴の長いFBI長官の選挙妨害的行為と、後味の悪い選挙だった。

そして、この選挙から私が学んだ大事なことがある。

それは、世界注視のテレビ討論会で、相手候補の発言をさえぎって「なんて嫌な女だ」と繰り返した男が、断罪されるどころか、「よくぞ言った」とばかり支持されたことだ。しかも、その“隠れトランプ”は、おびただしい数に上ったということだ。
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by bekokuma321 | 2016-11-10 22:37 | USA