2016年 11月 06日
志布志市:水着少女にうなぎを擬人化してPR
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鹿児島県志布志市長 本田修一 様
志布志市ふるさと納税PR動画「UNAKO(うなこ)」に抗議し、男女平等の視点にたった広報を行うことを求める要請書
2016 年10月24 日
私たち全国フェミニスト議員連盟は、女性の政治参画を推進し、真の男女平等を実現するために1992年から活動を続けている、市民と議員による団体です。
貴市のPR動画「UNAKO(うなこ)」について、抗議ならびに要請をいたします。
動画は、ウナギを黒い水着を着た少女に擬人化し、彼女に「養って」と言わせて、その一方で、「彼女のためにできる限りのことをしてやる」と男性に言わせる内容のものでした。
すでに貴市は、HPで「鹿児島県志布志市 ふるさと納税PR動画「UNAKO」配信停止のお知らせとお詫びについて」と述べて、配信を停止しています。
しかし、配信停止理由(「視聴者の皆様に更に不愉快な思いをさせてしまうだけでなく、これまで志布志市へふるさと納税をしていただいた寄附者の皆様や地元市民の皆様をはじめとする関係者の皆様に及ぼす影響」)は、なぜこの動画が問題なのか、なぜ国内外に大きな批判があがったのかをとらえていません。
動画そのもののみならず、このような市の対応に対し、私たちは、抗議の意を表明いたします。
「UNAKO(うなこ)」における、ウナギを少女に擬人化させて、水着姿で泳がせ、養ってほしいと懇願させる映像は、私たちに、少女を男性が監禁して性的に鑑賞することを想起させて、身震いするほどの不快感を抱かせました。これは女性をモノ化し、女性を性の対象とする視点にほかなりません。さらにジェンダーに関する感受性にまったく欠けていると言わざるを得ません。
残念ながら一部メディアにおけるこのような視点の横行は否めませんが、行政は、このような視点をむしろ否定し、そのような視点とは異なる女性像の育成を奨励されています(別紙注「行動綱領」)。
しかるに市は、このような視点でおおい尽くされた内容の動画を公金で作成して広報しました。二度とこのような視点で広報を行わないためには、問題の本質をとらえた上での反省を行い、市の全職員へのジェンダー研修を行うべきです。
ご承知のように日本政府は、1995年9月北京で行われた第4回世界女性会議に参加し北京宣言及び行動綱領を採択しました。行動綱領は、「ジェンダーに対する感受性がメディアに欠如していることは、公共及び民営の、地方、全国及び国際メディア機関に見られる、ジェンダーに基づく固定観念の排除ができなかったことを示している」と指摘し、243条で順守義務を掲げています(別紙注_左下Moreをクリック)。
この趣旨に基づき、下記を要請します。
記
1 「UNAKO(うなこ)」の問題点を、北京行動綱領から洗い出して、総括をすること。
2 市の全職員に対するジェンダー研修を継続的に行うこと。
3 今後は、女性を性的対象及び商品として扱うことを断固拒否し、男女平等の視点にたった広報を行うこと。
以上
全国フェミニスト議員連盟
共同代表 ひぐちのりこ(宮城県仙台市議会議員)
同 上 日向美砂子(東京都小平市議会議員)
事務局 小磯妙子(神奈川県茅ヶ崎市議会議員)
【別紙注】
北京行動綱領
第Ⅳ章 戦略目標J.2. メディアにおけるバランスがとれ、固定観念にとらわれない女性の描写を促進すること 取るべき行動 243.
表現の自由に矛盾しない範囲で、政府及び国際機関により:
(a)女性及び少女、並びに彼らの多様な役割に対するバランスのとれた描写の促進を目的とした、情報、教育及び通信戦略の調査研究と実施を促進すること。
(b)メディア及び広告機関に対し、行動綱領に関する意識を啓発するための特別プログラムを開発するよう奨励すること。
(c)メディアにおける固定観念にとらわれない、バランスのとれた多様な女性像の創造と活用を奨励するために、メディアの所有主及び経営者を含むメディア専門家のための、ジェンダーに対する感受性を養う訓練を奨励すること。
(d)メディアに対し、女性を、創造的な人間、中枢的な行為者、開発の過程への寄与者及びその受益者である存在としてでなく、劣った存在として表現すること、また性的対象及び商品として搾取することをやめるよう奨めること。
(e)メディアで見せつけられる女性差別主義的な紋切り型は男女差別であり、本質において品位をおとしめるものであって不快である、という考え方を促進すること。
【出典:内閣府男女共同参画局HP 第4回世界女性会議 行動綱領(総理府仮訳)】
参考リンク
■Japanese ad showing girl being fattened up, turned into eel and cooked is pulled
■Japanese ad showing girl turning into an eel gets pulled
■Bizarre Japanese fish advert withdrawn amid sexism complaints
■This Japanese Commercial for Eel Is Being Compared to a Sexist Horror Movie | Foreign Policy
■Youtube_鹿児島県志布志市のPR動画「UNAKO(うなこ)」
■OHCHR_Japan 「Report of the Special Rapporteur on the sale of children, child prostitution and child pornography on her visit to Japan」(「子ども売買、子ども買春及び子どもポルノ に関する特別報告書」。国連特別報告官マオド・ド・ブーア=ブキッキオMaud de Boer-Buquicchio が、日本を視察して、2016年3月、国連人権理事会に提出した)。同報告書は全21ページ。日本における子どもの性的搾取について調査事実を述べ、警告を発している。2点、翻訳する。
「新技術によって、日本発の子どもを虐待する表現(子どもポルノ)が世界に拡散・視聴されるようになった。特に、過激な子どもポルノが描写されている漫画、アニメ、CG、ビデオ、オンライン・ゲームといったジャンルにおいて、日本は、ヴァーチャルな子どもの性的搾取表現の主要製造者とされてきた」
「性役割や性差別、子どもの性の商品化、さらには、(こうしたことに対して)許容度が高く制裁を受けることのない社会、そして貧困は、日本の子どもがさまざまな形態で性的搾取を受ける根本原因となっている。「JKビジネス」に見られるように、消費第一主義は、子どもの性的搾取を牽引する要因として働く。一方、雇用機会の欠如、過度の競争社会、人間関係の貧しさと子どものソーシャル・スキルは、子どもを性的搾取へ押し出す要因となる。これらの要因が多面的にからまって、子どもや若者が性的搾取されやすい事態となっている」