女性参政権行使70周年を祝えるのか

戦後すぐの1946年4月、日本女性は投票所に足を運ぶことを初めて法で許された。

その衆議院議員選挙で、全国から79人の女性が立候補し、何と39人もが当選した。秋田では和崎ハルが立候補して、ダントツのトップ当選だった。 

c0166264_20591676.jpg

上は、女性初の代議士・和崎ハルを描いたミュージカル「ハルらんらん♪」のポスターだ。劇団わらび座が、「女性参政権行使70周年」である本年を記念して、ミュージカルにした(注)。

和崎ハルは美容師だった。ポスターでは、白い割烹着を身につけ、右手にハサミ、左手に櫛を持っている。夫の死後、5人の子どもを育てるために秋田で初の美容院を開業した。

髪を結いに来る芸者さんたちから身の上相談を持ちかけられた。遊郭に売られる貧農の娘、字が読めないばかりにだまされる娘、前借金を返せずに苦界に沈む芸者…。憤りを隠せなくなった彼女は、矯風会秋田支部を創設した早川カイとともに公娼制廃止運動にのめりこむ。

さらに、知人の選挙応援をして、政治腐敗を目の当たりにする。1 票約3円の買収、警察から不当監禁されての自殺。怒った和崎は、新聞や雑誌に「女性が政治に参加していくことが選挙の浄化に最も効果がある」と投稿する。こうして和崎ハルは、次に女性参政権運動にまい進する。彼女の新聞投稿には、こんな名言がある。

「女性が参政権を求めるのは一部特権階級の手にのみ委ねられて居る今日の政治の改善を図りたいからである」

女性参政権獲得から70年たった。しかし女性議員率は世界で最低レベルのうえ、「政治とカネ」のスキャンダルは底なし沼だ。兵庫の野々村県議事件、猪瀬都知事事件、甘利大臣事件、小渕優子事件、日歯連事件、舛添都知事事件、富山市議の政務活動費領収書偽造事件、富山県議の政党交付金横領事件・・・。私自身も、2012年衆院選で政党交付金がらみの忌まわしい事件に遭遇した。

100年前に書いた和崎ハルの文章は、残念ながら、今でも強い説得力を持つ。


本記事は「 I 女のしんぶん」に連載中の「叫ぶ芸術」を再構成したもの。「叫ぶ芸術」はネットでも読める:■叫ぶ芸術:ポスターに見る世界の女たち 同シリーズのなかの「女性参政権行使70周年を祝えるのか」(日本)

【注】ミュージカル「ハルらんらん♪」は、「あきた芸術村」で来年1月まで公演中だ。私は、7月、全国フェミニスト議員連盟有志や女性の政治参画に関心を寄せる仲間たちと観劇した。この「女性参政権行使70周年記念観劇・温泉ツアー」には、遠くは遠くは京都、名古屋、函館、東京……近くは秋田県内から、あきた芸術村のわらび劇場にかけつけた。観劇のあとは、劇場と同じ場所にあるホテルで、温泉につかって、そして秋田の美酒で食事を楽しんだ。チケット予約など詳しくはこちら

参考リンク
「祝!女性参政権行使70周年」記念はがき
和崎ハル:廃娼運動と婦選運動
参院選2016年と女性(2):女性参政権行使70周年
参院選2016年と女性
和崎ハル_1 武塙三山
和崎ハル_2 武塙三山
和崎ハル_3 武塙三山
和崎ハル_4 武塙三山
和崎ハル_5 武塙三山
普通のおばちゃんの三井裁判傍聴記_佐々木厚子
[PR]
by bekokuma321 | 2016-10-27 21:56 | 秋田