ノルウェーでDV殺害事件

c0166264_15197.jpg8月29日、ノルウェーの最北端キルケネスで、37歳の女性と、その12歳の息子が銃殺される事件があった。

報道によると、2人を殺害したのは女性の夫で、2人を殺害した後、自殺をはかって入院中である、と、警察が発表している。妻はタイから3年前にやってきて、ノルウェー在住資格をすでに持っている、という。

ノルウェーのDV対策は、予算といいスタッフといい日本とは比較にならないほど充実している。暴力被害者からの相談受付も24時間対応のうえ、駆け込みシェルター(クライシスセンター)も随所に設置されている。警察官へのDV研修もなされてきた。女性議員が多く、女性に対する暴力に黙ってはいない。

2011年2月、私はキルケネスの隣町を取材したことがあり、滞在中、キルケケネスにも行った。

公立図書館が町の中心部にあり、その蔵書の豊かさに目をみはった。たくさんの子どもたちが、静かに読書していた。厳寒の外とは大違い。その温かさは、室内温度にあるだけではなく、かもしだす雰囲気にもあるような気がした(注)。

その図書館の壁の目立つところに駆け込みシェルターのポスターが貼られていた(写真上)。町のシンボル「戦時下の母」像(写真下)が、シェルターのシンボルに使われていて、これなら、ノルウェー語がおぼつかない移民女性でも、危機を感じたときに察しがつくかもしれないと思った。

事件の背景には何があったのだろう。移民女性であることも、関係したのだろうか。亡くなった女性の友人知人の証言や、なによりも殺害容疑の夫からの事情聴取が待たれる。

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▲Krigsmødre(戦時下の母親)のモニュメント。赤ん坊をかかえ、毅然と前方を見つめる女性。足元に座る子どもも同じ方向を見ている。母親は裸足だ。キルケネスの広場中央にある。

Dobbeltdrapet i Kirkenes
映画『パパ、ママをぶたないで』が生まれた国ノルウェー(ノルウェーのシェルターの実態、社会的政治的背景のレポート)
絵本「パパと怒り鬼―話してごらん、だれかに―」DV(ドメスティック・バイオレンス)を子どもの視点からとらえたノルウェーの絵本

【注:「図書館大国」といわれるノルウェー。全国に散らばる図書館の全体像をつかむには、『文化を育むノルウェーの図書館』がおすすめ。Magnussenn矢部直美、吉田右子、和気尚美共著で新評論から刊行されている】
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by bekokuma321 | 2016-09-03 01:25 | ノルウェー