参院選2016年と女性(3):政党の責務

参院選が終わった。女性候補は96人で、389人中24.6%。そして当選者は、選挙区17人、比例区11人、計28人、121人中23.1%だった。

当選者の4、5人に1人が女性。ほんの少し前進した。

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    ▲女性の候補者数と当選者数の推移(新聞報道等をもとにFEM-NEWS作成)

ただ、今年こそ「すくなくとも30%」にと願っていたのは、私だけではないだろう。「少なくとも30%」は、1990年に国連の経済社会理事会が採択したナイロビ将来戦略勧告に明記されている。正確には、「女性の割合を1995年までに少なくとも30%まで」だ。日本は、20年以上前に守るべき世界との約束をまだ守っていない。

さて、参院選の結果を見ると、妙なことに気づく。選挙区の女性当選者は73人中17人で23.2%、比例区は48人中11人で22.9%。選挙区のほうが比例区より、女性の当選率がやや高いのである。

理由は、比例区への女性の候補者がきわめて少なかったことにある。もっとも顕著なのは、公明党だ。公明党は、比例区17人全て男性。女性を誰ひとり擁立していない。候補者がいなければ、当選しようがないではないか。公明党よ、猛省せよ。

民進党も、比例区候補22人中女性はわずか3人。わずか13%である。これでは、男女共同参画に熱心である政党のように胸をはっても、ポーズにすぎないとわかる。

しかも、その3人全員当選かと思いきや、当選した女性はたった1人。

比例代表制は各政党の得票率に応じて議席数を配分する制度だ。だから、女性が当選しやすい。しかし、日本の参院選の比例区は、「非拘束名簿式比例代表制」だ。

A子候補名を書くと、A子候補の属する政党に1票がはいると同時に、A子候補の政党内における順番をあげる。全国区だから、順番をあげるには相当数が組織的にA子と書かなくては、党内の競争に負けてしまう。この方式は、政党の決めた候補者の順番に従って上から当選していくという基本からずれている。

なるほど当選した候補者を見ると、全国的に有名な人、または、労組など大きな組織を持っている人ばかりだ。

民進党の比例女性候補は、矢田雅子、西村正美、大河原雅子の3人だが、当選したのは、労組中央執行委員長の矢田雅子のみ。落選した西村は、あの日本歯科医師連盟の出身だが、迂回献金事件で連盟幹部が起訴されていて動けなかったのではないか。大河原は、生協が支援団体だが、当選ラインにおしあげるほどの全国的組織力ではなかったのだろう。

自民党の比例区で当選した山谷えり子も、全国的組織を数多く持つ。右派の神道政治連盟や日本会議、教育再生・地方議員百人と市民の会などが彼女の集票マシーンだ。これらの組織を代弁して、またも6年間、陰に陽に動くのだろう。選択的夫婦別姓反対、妊娠中絶反対、性教育反対・・・と。

政党には、男女平等社会をつくる責務がある。非拘束名簿式比例代表制である限り、女性候補を当選させるための特別施策が政党には不可欠だ。まず、候補を男女半々にしなくては話にならない(比例制選挙をとる北欧諸国の政党のほとんどは、候補者を男女交互に並べる)。そのうえで、政党は、莫大な政党交付金を女性当選増にむけて有効に使うべきだ。

一方、選挙区において、当選した女性は、自民5人、公明3人、おおさか維新1人、民進6人、無所属2人だ。民進と無所属8人中4人は、野党共闘の成果だ。1人しか当選できない32選挙区は小選挙区制なのだから、候補者をしぼらないかぎり、絶対当選できない。今回、ほぼ全ての選挙区に候補者を擁立してきた共産党が、候補者を取り下げた。共産党の柔軟な決定がなければ、この4人の女性の当選はありえなかっただろう。

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by bekokuma321 | 2016-07-12 01:55 | その他