頭に血がのぼった

c0166264_2033767.jpg三井マリ子さんの書いた『ノルウェーを変えた髭のノラ--男女平等社会はこうしてできた』(明石書店)を読み終えた。

ノルウェーがどういう歴史を経て男女平等社会となったかを、三井さんがノルウェーに直接足を運んで書いたものだ。

ノルウェーの、さすがの男女平等ぶりに驚いた。と同時に、そこに至るまでさまざまな闘いがあったことを知った。

今や日本でさえ話題になっている「クオータ制」。それを70年代に世界で初めて実行したノルウェー初の女性党首ベリット・オース(写真下)の苦闘ぶりに感動した。

ベリット・オースの著した「支配者が使う五つの手口」も、なるほどと思った。そして、この本の題になった男女同一賃金を求めて髭をつけてアピールする現代のノルウェー女性たち。

ノルウェーについての章の後に最終章として日本の男尊女卑ぶりが書かれている。それを読んで、あまりのひどさに頭に血がのぼった。

「女である、ということだけで、さげすまれる」というこの図式が日本の社会を覆っていることをあらためて知った。三井さんが体験したことの一部を挙げれば以下のようになる。

○職場のお茶くみは、女の仕事のひとつで当然のこととされていた
○学校の生徒名簿は、男女別で男が先にくるのが当たり前だった
○求人広告は男子優先で女性排除が普通にあった
○女性議員のいない男性だらけの日本の議会
○男尊女卑・女性差別主義者は、現在でもそれが心にこびりついている等々

c0166264_11131865.jpg世界有数の男女平等の国ノルウェーにしても、いきなり女の立場が強くなったわけではない。『ノルウェーを変えた髭のノラ』によると、140年ほど前、ノルウェーの作家イプセンは『人形の家』を著した。当時の女性は、選挙権どころか家族の人数のうちにも入れてもらえない、という時代だった。

だが『人形の家』の主人公「主婦ノラ」は、夫と子供を捨てて家を出る。「私は妻であり、母である前に、あなたと同じ人間です」と言って…。当時は、妻がそのような考えを持つことは許されなかった。しかし、ノラは、その許されない社会をものともしない強さを秘めていた。

ノラの末裔のような女性たちは、さらに闘い始める。そして現在のノルウェーの男女平等が誕生する。妻の仕事を優先して離職して主夫をする男性もいる。残業もせず、職場を休んで育児パパになる男性もいる(三井マリ子著『ママは大臣 パパ育児』に詳しい)。

その男性たちの本心を知るために、三井さんはさらに取材して、調査していく。そして発見したことは、ノルウェーの夫たちは「女性の価値観」に共感を寄せ、一緒にその価値観を育んでいるということだ、と三井さんは書く。

現在の日本はどうだろう。あまりにもひどい。

加島 康博(秋田市、さみどりの会


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by bekokuma321 | 2016-07-01 20:25 | ノルウェー