強姦被害男性の感情

1人のノルウェー男性が、ソマリアからの亡命申請者(男性)に強姦された。加害者は何年かの受刑後、国外追放された。それを知った被害者の男性は罪悪感を抱いている、というニュースが届いた。

私のノルウェー語の知識はまったく不十分であり、正確でない部分があるだろうことをお断りしたうえで、彼の言葉の一部を訳して紹介したい。彼の主な言い分は、

「加害者はノルウェーの地をニ度と踏めなくなった。命がけで逃亡したソマリアに強制送還され、何をされるかわからない。彼は、犯した犯罪への罰を償うべきだと思う。しかし、この世は、あまりに不公平だ。彼の行為は、戦争や略奪が続く社会(ソマリア)の産物であり、それが彼を犯罪に走らせた。僕は、被害にあったのち、長い間、苦しんだが、彼のように救いを求めている人たちに、これまでと同様、救いの手を差し伸べたい」

NRK(ノルウェー放送協会)によると、被害者はヘテロセクシャルのカールステン・N・ハウケン(1988年生)で、難民救済の運動家、フェミニスト。市議会議員候補(左派社会党)にもなった。加害者はソマリアからの難民男性。

ハウケンは、強姦被害者の心情について、
「被害を受けたあと、無だった。何年間も、うつ状態で、孤独でした」と述べる。

さらに、「男性が、強姦されたとは?」「僕は、女性差別や民族差別の嫌いな人間。その人間がソマリア人男性から強姦されたとは?」――彼は、気が変になりそうで、そうした問いから逃げることばかり考えていて、アルコールやマリファナに手を出したという。

事件後、数年たって、強姦被害者が集まって話し合うグループ・セラピーに行き、被害者たちの話を聞いて、自分の被害はまだましなほうだということに非常にショックを受けた。多くの被害者は、被害を受けたことを家族にも友人にも誰にも言っていない、ということも知った。

事件が起きた後、警察の適切な対応で、彼はオスロの緊急救命室の強姦受付センターに、連れていかれて、丁寧で配慮の行き届いた聞き取りをされ、セラピストからのケアを受けた、とも述べている。父親が迎えに来てくれた。その後の捜査も、一人の警察官がずっと担当していたという。

強姦加害者は、しばらくして別件で逮捕されて、DNAや指紋照合などにより強姦罪で4年半の刑に。ソマリアに強制送還されると聞いたとき、どれだけ安心したか、車の中で涙が止まらないほど、彼が自分から離れていなくなることがうれしかったと語る。

しかし、同時に、前述したような罪の意識から逃れられない、複雑な心境を語る。

彼の告白を読んで、私は、性暴力・強姦を受けた人間の誰にも言えない苦悩に少しだけ近づくことができたような気がする。「男は感情を外に出すものではない」という通念が残るこの社会で、男性が性被害の感情を外に出すことは、どういうことかについても、考えさせられた。

そして、カールステン・N・ハウケンのような男性を育ててきたノルウェー社会を、心から素敵だ、と思った。

Jeg ble voldtatt av en mann(I was raped by a man)

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▲オスロのヴィーゲラン公園
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by bekokuma321 | 2016-05-05 23:55 | ノルウェー