「むかし魔女、いま大臣」を読みエイラを思う

「平等の国ノルウェーの選挙」の「第22話 むかし魔女、いま大臣」を読みました。

第22話のp3の写真に強く惹かれました。椅子から炎が燃え盛っています。水の刑をくぐり、火あぶりの刑を受けて、殺された女たちを象徴する芸術作品「魔女裁判モニュメントのオブジェ」です。

あの女は魔女だ、とレッテルをはられると引っ立てられて拷問の末に死んでいった、女たち。2011年夏、ノルウェーは、昔の犠牲者を悼んで狂気の歴史を刻むために、国の予算で「魔女裁判モニュメント」を完成させました。モニュメントは、魔女狩りが多くあったノルウェーのフィンマルク県ヴァルドゥーという厳寒の地にあるそうです。

三井さんは2011年2月、この極北の地を訪問。でも未完成でした。夏には完成するというモニュメントが見える所までたどり着き、凍傷になりかけながら撮影に成功。その写真も、p2に掲載されています。

21世紀に生きる私たちですが、魔女狩りと無関係だとは言えません。魔女裁判を生みだした昔の人間の精神と似た精神でなければ起こり得ない事件に、今も遭遇することがあるからです。女性蔑視が根強く残る日本社会は、とくに精神の自由のない国です。不自由な精神は、規格からはずれた自由な女たちに反感を持ち、排除します。

30~40代の頃、魔女が主人公の児童文学を読むのが好きでした。魔女と呼ばれる女性は社会から非難されていても自分を失わず、窮地を乗り切る勇気を持ち、信ずることをやり通す人間として描かれていました。

ジーン・アウル作『大地の子エイラ』は圧巻でした。エイラは魔女のレッテルは貼られていませんが、魔女と言えると思います。時代は紀元前3万年ころ。クロマニヨン人のエイラは、大地震で種属を失いひとりになってしまい、ネアンデルタール人の部族に育てられます。ネアンデルタール人の眼から見れば、エイラは、自分たちとは異なる醜い異端者。差別に苦しみながらも、エイラは薬草の知識を持つ女性(薬師)の手で育てられ、自分も薬師になります。男の仕事だった石つぶてを投げる猟の技術も鍛錬をかさねた結果、並外れて上手くなります。

話をノルウェーに戻します。当時、魔女とされたサーミたちには、エイラのように薬草を使って病気や傷を治す薬師がいました。男性官吏は、このような知識を持つ女たちに驚き、そして憎悪したのではないでしょうか。

しかし、魔女たちを火あぶりの刑にした国で、現代のエイラたちは少数民族ながらも議員や市長となって社会を変えています。こうした女性たちが政治の場にいるからこそ、私が感動した「魔女モニュメント」が、21世紀にできたのだと思います。

ふじみつこ(さみどりの会ホームページ(*)担当
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(*)2012年暮れ、2カ月にわたる立候補要請を受けて、三井マリ子さんは秋田移住して衆院選に。落選後、松浦大悟議員らに不明朗な会計処理をされ心身ともに損害を受けたと提訴。さみどりの会は三井裁判を支援する会の愛称。さみどりの会ホームページは選挙・裁判をきっかけにできた、女性と選挙・政治を考えるサイト。裁判は2015年11月和解で終わった

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▲魔女モニュメントのオブジェ(撮影三井マリ子)

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by bekokuma321 | 2016-04-24 11:51 | 秋田