同じ18歳であってもーーノルウェーの選挙、日本の選挙

c0166264_0231454.jpg「世界一住みやすい」極北の町ノルウェー・フィンマルク県バドソーに乗り込んだ三井マリ子さん。この極寒の町の人々が本当に住みやすいと思っているかを確かめるには極寒の季節だと、2011年2月に出かけた。

その「ルポ:平等の国ノルウェーの選挙」は、ノルウェーと日本の選挙文化の違いを改めて思い知らせてくれた。

2012年12月、秋田で衆院候補となった三井さんが受けたなんとも醜悪で陰惨な「いじめ」。裁判報告や連載で知った後だけに、ノルウェーの選挙の公明性・公開性に、隔絶の感がある。

政党の公認候補は密室の中で、票を集められそうな有名人を国会議員が一本釣りという候補者選びが一般的な日本。三井さんも国会議員から執拗なほどの要請があったものの、選挙区で党員会議らしい会議は開かれなかったという。

対して、ノルウェーの選挙候補は、推薦法という法律に即して、各選挙区の政党の「推薦委員会」で原簿が作られ、「推薦会議」で決定するのだという。

その政党の候補に、現役の高校生も名を連ねて、その高校生が議員に当選したと、三井さんはルポしている。驚き以外の何物でもない。

「第20話 高校生が市議になれる理由」(pdf)は、ノルウェーでは学校教育と政治がいかに共生しているか、「『政治に親しむ教育』がいかに日常的に行われている」かが書かれている。中高校生のスクールエレクション、小学生の政党候補者取材……。

日本では、唐突に選挙権年齢が引き下げられ、18歳から投票できるようになった。では、ノルウェーのように、政治に親しむ教育が行われているか。否。それとは逆の、学校教育から締め出してきた歴史がある。今回も、高校生の政治活動を学校に報告させるという教育委員会もあるらしい。18歳の高校生に政権側に票を入れてもらいたいだけで、主権者として政治的意見など持ってもらいたくない政権側のもくろみが、私には見えてくる。

それに引き換え、全高校の8割以上もの高校が実施するという、ノルウェーのスクールエレクションは垂涎である。実際に学校内で選挙運動や投票を経験することは、高校生の自主性と政治意識をどれほど涵養することだろう。堂々と質問し主張する高校生と、彼・彼女らにしっかりと答える政党代表者や候補者。こうした光景を日本で見られる日がくるのだろうか。

♪世の中のジョウシキ何も知らなくていい
 メイク上手ならいい
 ニュースなんか興味ないし
 大抵のこと 誰かに助けてもらえばいい♪
(「アインシュタインよりディアナ・ロス」作詞・秋元康、歌・KKT48)

こんな歌が売れる日本だ。しかし、「この歌詞がひどすぎる!」とネットが炎上した。そこにわずかに望みがあるのかも――と考える私だが、それではあまりに哀しすぎる。
 
木村 昭子(さみどりの会 *)

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▲おそろいのTシャツで、労働党候補を応援する高校生。オスロ市内(撮影三井)

「ルポ:平等の国ノルウェーの選挙」は、連載「衆院秋田3区政党交付金」にはいっている。
■第23話 庶民の足元に根をはる政治
■第22話 むかし魔女、いま大臣
■第21話 酪農をとるか、市長をとるか
■第20話 高校生が市議になれる理由
■第19話 極北の町を見捨てない国
■ルポ:平等の国ノルウェーの選挙
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(*)2012年暮れ、2カ月にわたる立候補要請を受けて、三井マリ子さんは秋田移住して衆院選に。落選後、松浦大悟議員らに不明朗な会計処理をされ心身ともに損害を受けたと提訴。さみどりの会は三井裁判を支援する会の愛称。さみどりの会ホームページは選挙・裁判をきっかけにできた、女性と選挙・政治を考えるサイト。裁判は2015年11月和解で終わった
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by bekokuma321 | 2016-04-17 19:57 | ノルウェー