2016年 03月 01日
アカデミー賞と性暴力からの生還者
歌は、Til it happens to you 。
あなたが被害に遭わない限り、レイプ被害者の苦悩はわかりゃしない……。性暴力にあった人間の、この底知れない怒り、苦しみ。あなたにいったい何がわかるっていうの。元気をだして、がんばって、時が解決してくれる……なんて言わないで。
レディ・ガガの腹からの歌声と、憤怒あふれる顔は、彼女自身の性暴力に対する強い怒りを表していると感じた。ネットで調べたら、レディ・ガガは10代の頃、レイプされたのだという。
歌の終わりに近づくころ、ステージの奥のほうに居並ぶ大勢の人影が動き出す。白いガガと白いピアノに向かって……。1人1人の腕には、「あなたは悪くない」「私はサバイバ―(survivor、生還した人)」とタトゥーが。
レディ・ガガの紹介者として登場したのは副大統領のジョゼフ・バイデンだった。オバマ大統領の右腕だ。
ジョゼフ・バイデンの姿を見ると思い出す。1990年代、全米をゆるがせた、アメリカ連邦議会特別委員会、いわゆる「セクハラ公聴会」だ。彼は委員長を務めた。まだアメリカでさえ、セクシャルハラスメントが性暴力だと広く認識されてなかった頃だった。また彼は、最初の妻と娘を同時に交通事故で亡くしている。その後、彼自身が脳動脈瘤で危篤となり、2回の大手術の後、奇跡の回復をとげた。悲劇を乗り越えたサバイバ―だ。
彼は副大統領としてはなく、サバイバ―の1人として、ステージに立ったのだろう。
政治の力を感じたアカデミー賞だった。
■Lady Gaga performs with sexual assault survivors during the Oscars – video
■Lady Gaga - Til It Happens To You(Youtube)
■朝日新聞(ひと)山本潤さん 性暴力被害者の立場から刑法を考える
■セクハラ労災の狭き門をあけた裁判
■女性のための組合「パープル・ユニオン」
■最高裁、セクハラにNO!
■4月6日 営業ウーマンの逆襲
■セクハラ村長退陣後の村長選に女性立候補
■精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会 セクシュアルハラスメント事案に係る分科会報告書について