ジカ熱と女性の決定権

c0166264_22583712.jpg2月になって、小頭症の子どもを世話する女性たちの写真とともに、ジカウイルス感染のニュースが世界を駆けめぐった。

WHOのチャン事務局長は、妊婦の感染と小頭症の因果関係が「科学的に証明されていないが、強く疑われる」と語り、「予防は蚊の大量発生を抑え、妊婦が蚊に刺されないようにすること」と発表した。日本政府も、緊急に情報を流した。

中南米の少なくとも5か国は、「女性は妊娠をしないように」と提案したそうだ。

このニュースに接して、何か大事なことが抜け落ちているように感じたのは私だけではないはずだ。

それは女性たちの基本的人権だ。

c0166264_975265.jpg世界女性リンク Women's Link Worldwide のプログラム部長モニカ・ローのコメントがわかりやすい。世界女性リンクは、ラテン・アメリカから発信する国際的女性解放団体。要訳する。

「ラテン・アメリカの妊娠者の50%以上は、計画されたものではない。『妊娠しないように』などという女性への提案は、ナイーブであり、効果もない。強姦や性暴力の蔓延をどうするつもりだ。重要なことは、避妊や妊娠中絶について情報を得られない女性たち、避妊や妊娠中絶に近づけない女性たちが大勢いることだ」

BBCは、ジカ熱が流行している中南米の妊娠中絶事情を公表した。女性たちにあまりに厳しい。

●コロンビア:妊娠中絶は禁止。例外は、赤ん坊の命にかかわる異常、母体の健康への重篤な影響、強姦による妊娠。

●エルサルバトル:いかなる場合でも妊娠中絶は全面的に禁止。女性は拘留罰を受ける

●エクアドル:妊娠中絶は禁止。例外は、妊婦の生命や健康にかかわる場合、精神障がいを持った女性が強姦された場合

●ジャマイカ:妊娠中絶は禁止。例外は、性暴力の被害者である女性、妊娠中絶をしなければ母体が危険にさらされる場合

●プエルトリコ:アメリカの憲法の下にあり、女性は妊娠中絶を選択できる。しかし女性の命と健康の保護しない場合は妊娠中絶を禁止するという法律がある。

妊娠中絶が違法である国で、「妊娠するな」と提案されたら、女性たちは、どうなるか。裕福な女性たちは、合法の国に旅行して妊娠中絶を受けることができても、貧しい女性たちは、不衛生な闇手術にすがりつくか、産むしかないのだ。

ジカ熱のニュースで、「産む産まないを決める権利、何人産むかを決める権利」という女性の決定権をあらためて考えた。

The Zika Virus’ Unlikely Silver Lining
women's link worldwide
Zika virus triggers pregnancy delay calls
Q&A: Abortion rules in Zika-affected countries
The Zika Virus and Brazilian Women’s Right to Choose

【写真上:ブラジルのポスター。女性の声を地方政府に届けようという会議のPR】
[PR]
by bekokuma321 | 2016-02-09 23:02 | 中南米