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アイスランド女性がいっせいに休んだ日

10 月24 日はアイスランドの女性にとって記念すべき日だ。40年前の10 月24 日、アイスランド女性は、ありとあらゆる仕事をストップした。

「女性が仕事を休む日」。アイスランド人はKvennafríと呼ぶ。英語で"Women's Day Off“。アイスランド史に燦然と輝く。

なにしろ、アイスランド女性の90%が仕事をやめた。女性の連帯をこれほどシンボリックに表した日はないだろう。

秘書は会社に行くことをやめ、教員は学校を保育士は保育園を休み、看護師は病院に行くことをやめ、主婦は食事の用意をほおり投げて赤ん坊を夫に手渡した。いかに女性が社会に貢献しているか、いかに女性の価値が低く見られているかを世に知らせるためだった。

アイスランドのいわば「女のゼネスト」について多少知っているつもりだった。というのも、私は今から20年前、1994年、首都レイキャビクの市長に「女性党」の女性が就任したと聞いてアイスランドまで取材に出かけた。遠いアイスランドに行く前に調査をしたら、首都の顔に女性が就任しただけでなく、当時、大統領までが女性だった。

詳しくは『ママは大臣パパ育児』(明石書店)のアイスランドを参照してほしいが、背景に、「女のゼネスト」をやりとげた女性たちの力や、女性の力に対する社会の共感がある、とわかった。

そして一昨日、10月25日付けBBCで、この「女性が仕事を休む日」を振り返る記事を読んだ。国中の女性という女性がデモをするって、いったいどんな光景なのか。BBCの記事と写真は、かねてから気になっていた私の好奇心に応えてくれた。

関連記事で知ったのだが、女性ゼネストのアイデアは、急進的な女性団体レッド・ストッキングだった。1970年にすでに企画されていたらしい。そして、1975年に始まった国連の女性年が後押しした。

1975年6月、レイキャビクで、国連女性年に呼応した女性会議が開催された。その会議で、「10月24日、女性がすべての仕事を放棄して、女性の仕事の価値を知らせよう」という動議が出された。動議案は、多彩な年齢、多彩な政党、多彩な職業ーー主婦も含むーーを持つ8人の女性によって用意周到に仕組まれた。動議は可決された。賛成72、反対28だった。

ありとあらゆる分野の、ありとあらゆる年齢層の女性がいっせいに休むという行動をとろう、という布石が、この時作られたと言ってもいい。

その日のネーミングも工夫された。ストライキではなく「休み」にしたらどうか。休みならどんな女性でもとりたいに決まっている。10月24日までの怒涛の4か月については、On the women's holidayに詳しい。

1975年10月24日、アイスランドの女性たちがやってのけた「女性が仕事を休む日」。それから40年、「世界の男女平等ランキング」で、アイスランドは世界のトップ」となった。女性が結婚しても出産しても働き続けられる公的サービスが最も充実した国なのだ。

40年前のアイスランドを紹介するBBCの写真や、アイスランド国営放送RÚVの動画を見ていたら、解決されないままの日本女性の抱える問題が浮かび上がってきて、目がしらが熱くなった。ちなみに、アイスランドが1位となった「男女平等ランキング」は、日本104位、と知らせていた。

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▲アイスランドの「女性が仕事を休む日」の精神は国際女性デ―に通じる。国際女性デ―3月8日、世界中で、女性への侮蔑や差別に怒り、女性が女性であることを喜びあう。上は女性の連帯をアートに仕上げるふじみつこ作の国際女性デ―カード


The day Iceland's women went on strike
40 ár frá kvennafrídeginum - Myndskeið (「女性が仕事を休む日から40年」_アイスランド国営放送の動画。大集会でスピーチの最後を飾ったのは国会議員でも著名文化人でもなく学校・病院等の清掃組合女性部代表だった)
The Day the children came to the offices
Aðalheiður Bjarnfreðsdóttir á Lækjartorgi 24. október 1975
Kvennafrídagur 24. október 1975
百田氏よ、恥を知れ! 
日本142カ国の中で104位
女性の雇用率の高い国は
福祉は経済を発展させる
男女平等世界1アイスランド、日本94位
アイスランドにレズビアン首相誕生
by bekokuma321 | 2015-10-27 21:51 | 北欧