女は選挙でつぶしてもいいのか 

裁判を起こす、というのは男女関係なく大変な勇気と時間とお金を要する。私の周辺では離婚裁判くらいしか実例がなかったから、なんとなく他人事だった。

しかし、三井マリ子さんが民主党秋田県連代表を相手に裁判を起こしたと聞いてびっくりした。

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三井さんが衆院選に出たのは民主党に大逆風が吹いていた2012年だ。「当選は120%無理だ」とわかっていた。それでも出馬したのはなぜだろう。どうして三井さんはいろいろなものをこれほどまでにむしりとられたのだろう。三井さんをここまで怒らせたのはどんなわけがあったのだろう。

山形県と秋田県はお隣同士とはいえ、距離が遠く文化も風土も違う。時たま接する裁判報道だけでは何とも分かりづらかった。

先日、秋田地裁から帰る三井さんと山形駅で会った。三井さんの話を聞いた後、「陳述書2」を読んだ。読んでいるうちに「これって選挙詐欺じゃないの?」と思った。

相手は女性問題に長く取り組んできた三井さんの心のツボを押したのだろう。秋田の女性たちのために、社会の男女平等のために、議会に女性の声を届けるためにと、いろいろな「ために」が、強い勧誘を受けながらしだいに三井さんに渦巻いたのだろう。

運動期間が短いために苦戦したが、三井さんは供託金ラインをクリアした。さすがだなあ。しかし、三井さんの個人資金から出した供託金を三井さんに戻さなかったなど、懇願して三井さんを秋田移住させた人たちの後始末のお粗末さ。これらは三井さんの陳述書などの証拠で明らかだ。

9月30日は、12回目の裁判だという。和解になるのか。和解になったとしたら、どのような和解条項が出たのか。どういう結論にせよ、この裁判を通じて、民主党秋田県連代表など被告の実態が明らかになることだろう。

被告らの心の中に「女は選挙でつぶしてもたいしたことない」という思いがあったとしたらとんでもないことだ。が、選挙は時として女性差別に直結しやすい。

私事で恥ずかしいが、私は4月の統一地方選挙で山形市から出て、最下位だった。自分の至らなさを棚に上げて言わせてもらうと、前回私を支持してくれた組織から新人(男性)が出た。なんの話し合いも区割り案もなしに選挙戦に入った。ふたを開けたら彼の方がわずかだが私を上回り、私が最後に滑り込んだ。開票を見て混乱するばかりだった。

新人(男性)の選対に、「女性(私)の票ははがしてもいいんだ」「組織外の人間だからはがしてもいいんだ」という気持ちがなかっただろうか。組織幹部は「うちから2人の議員を出した」と鼻高々だが、私にしてみればむしりとられた、という被害者意識の方が強く、気持ちを立て直すのに2か月かかった。甘いと言われればそうだけど。組織というのはナントカ村といえるくらいに同じような価値観を持つ人が多い。ずっと一人で仕事をしてきた私は異分子でしかないのだとわかった。

今でも、彼らの心の中に、「女は選挙でつぶしてもたいしたことない」という意識がどこかで働いたのではないかという思いは消えない。そして、三井さんの裁判を知って、同じような思いを抱いた。
 
伊藤 美代子(山形市議会議員、さみどりの会*)

(*)2012年暮れ、2カ月にわたる立候補要請を受けて、三井マリ子さんは秋田移住して衆院選に出た。落選後、松浦大悟議員らに不明朗な会計処理をされ心身ともに損害を受けたと提訴した。さみどりの会は三井裁判を支援する会の愛称。「産むならば 世界を産めよ ものの芽の 燃え立つ森の さみどりのなか」という阿木津英の歌がある。女性は子どもだけでなく、世界を産み出すのだという意味だ。三井さんは、選挙演説に引用しては「私は新しい秋田を産み出したいのです」と結んでいた。選挙・裁判をきっかけにできた、女性と選挙・政治を考えるサイトさみどりの会ホームページには裁判関係の情報が掲載されている。
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【写真:東京都の倍以上もある秋田3区を朝から晩までかけずり回った三井候補。2012年12月】
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by bekokuma321 | 2015-10-04 11:29 | 秋田