男女平等への懸命さを利用した者への怒り

c0166264_1459215.jpg三井マリ子さんは、2012年の衆議院選で、秋田3区から民主党秋田県連の松浦大悟代表に懇願されて立候補しました。

その選挙における政党交付金について、選挙資金を実質的に管理していた民主党県連の松浦代表の当時の秘書らに不明朗な会計処理をされたと主張して、約2,700万円の損害賠償を要求する裁判を起こしました。

この度、三井マリ子さんのまとめた「陳述書2」を読む機会に恵まれました。  

実に緻密に記憶をたどり、証拠となる口座の流れ、通帳の記帳の確認、口座開設の筆跡、押印した印の字体の差異など、こまごまとした確認作業を地道に行っています。選挙違反になれば、選挙の出納責任者に名前を使われてしまった恩師に迷惑をかけることになると思いあたり、調査を続けます。

なんと忍耐強く、なんと粘り強く・・・。読んでいて胸が苦しくなりそうでした。三井マリ子さんにここまで闘わせたものは、なんなのか。

「男女平等」「女性の地位向上」のための社会づくりの一助となりたいと思って活動している1人である私にはわかります。裁判の道を選んだ原点には、男女平等の社会を作ろうとしてきた懸命さを利用されてしまった悔しさと怒りがあると思います。

落選して5日目の夕方、5人が突然やってきてつるしあげられた様子がこう書かれています。

「私が1人でいる時に5人が突然、何の約束もなく、闖入してきたこと自
体、 闖入された者にとって恐怖以外のなにものでもありません。支援者
からの電話に応えている私の言葉が冒頭に録音されていますが、その時点
ですでに部屋の中にまで闖入してきているのがわかります。こちらに心の
準備がないことを承知の上で、5対1という数で威圧し・・・」

その衝撃は、まるで後から殴打されたようだったろうと私は感じます。三井さんは、「なぜだ」と疑問を思い始めたことが調査に向かったきっかけのようです。

c0166264_1545769.jpgわたしは、個人の問題を社会化して政治課題として解決していくことが政治家の仕事と思っています。ですから、純粋な気持で市井の人々、市井の女性たちと問題を見つけてはその解決に向かって取り組んできました。しかし、その取り組みは困難に満ちています。厚い壁があるのを感じます。

その壁を知っている三井マリ子さんは、国政に立候補していずれ当選ということになれば、困難な課題を解決する糸口が見つかるに違いない、と思ったはずです。

だからこそ、当初は固辞していたのですが、家族と離れて秋田移住という困難を承知で、しかも2012年当時、民主党には大逆風が吹き荒れ全く当選の見込みがないことを承知のうえで、立候補を決意したのです。

それが、周到な計画があったようにも見える政党交付金の不明朗な使い方をされたのです。

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「陳述書2」を読みながら、政党交付金の摩訶不思議な使い方に強い不信感を覚えましたので、政党交付金とは何かを調べてみました。

政党交付金は、1995年に施行された政党助成法に基づいて政党に交付される税金です。「リクルート事件」「東京佐川急便事件」など汚職事件が相次いだことが背景にあります。企業献金を制限するかわりに税金で賄うようにしようとしたのです。しかし、施行から20年が経過し弊害が指摘されています(ウィキペディアによる)。

1 選挙権を有しない者を含めて総額を算出し、配分基準も政党への得票数のみではないため、民意を正確に反映していない
2 企業、労働組合などの団体の献金の禁止を名目に助成制度を作ったにもかかわらず、現在も企業団体献金を残している。
3 政党交付金が余った場合には、国庫に返納するものとされているが、実際の返納は稀である。その年に使い切ることができなかった交付金については、基金として積み立てて翌年以降に繰り越すことで国庫への返納を免れることができ、実質的には蓄財されている。この20年間に、返納された例としては3例のみである。
4 政党の政治活動の自由を尊重する観点から、政党交付金の使途について制限してはならないと定められているため、政治活動以外のものに使われる例が後を絶たないなど使途不明金も多い。

三井マリ子さんは、女性議員を増やす活動を続けていましたが、選挙をしてはいないので、まったく政党交付金は知らなかったでしょう。何度も選挙をした私でも、実は政党交付金についてはほとんど知りませんでした。

そんな三井マリ子さんに立候補を懇願した側は、上記の3と4を悪用したのだなと、私は思いました。

民主党のホームページには、「『第3次男女共同参画基本計画』において、政治を含めたあらゆる分野で、2012年までに指導的地位に占める女性の割合を30%とする「202030」を規定したことを踏まえ、女性の政治参加を進めるための政治スクールを全国で展開します。これに先駆け、キックオフセミナー『立とう!女性たち!』を開催いたしますので、奮ってご参加ください。」とあります(2015年9月現在)。

しかしながら、この度の三井マリ子さんに対する民主党秋田県代表の行いを知ったら、安心して立候補などできないような気がします。

事務を一つ一つ確認しながら進めてくれるスタッフや選対がいてこそ、候補者は苦しい戦いにも耐えられるのです。政治スクールを受けて立候補を決意したときは、この最も大事な基盤を整えることに、手を差し伸べてくれるのでしょうか。

裁判とは、一生のうち経験したくないものの一つでしょう。お金も時間もかかります。しかし、三井マリ子さんは裁判という道を選びました。そのおかげで、証拠が山のように出てきました。

三井マリ子さんの裁判によって得られた証拠の数々は、政党交付金のあり方や、新しく女性が政界進出するためにもっとも注意しなければならないのは何かを教えてくれます。それは、三井マリ子さんの犠牲の上に生み出された真実といえるものです。

2015年9月25日
                  
広島県廿日市市議会議員 井上さちこ

【写真上:2012年12月豪雪の衆院選。下:秋田地裁前の三井原告】

廿日市市長選、女性市長ならず
広島県廿日市市市長選、男女の一騎打ち

(*)2012年暮れ、2カ月にわたる立候補要請を受けて、三井マリ子さんは秋田移住して衆院選に出た。落選後、松浦大悟議員らに不明朗な会計処理をされ心身ともに損害を受けたと提訴した。さみどりの会は三井裁判を支援する会の愛称。「産むならば 世界を産めよ ものの芽の 燃え立つ森の さみどりのなか」という阿木津英の歌がある。女性は子どもだけでなく、世界を産み出すのだという意味だ。三井さんは、選挙演説に引用しては「私は新しい秋田を産み出したいのです」と結んでいた。選挙・裁判をきっかけにできた、女性と選挙・政治を考えるサイトさみどりの会ホームページには裁判関係の情報が掲載されている。
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by bekokuma321 | 2015-09-27 15:14 | 秋田