2015年 09月 20日
安保法案の成立は小選挙区制のせいである
本会議は、怒号ともみ合いにまぎれて「採決」した特別委員会の結果を受けて行われた。衆院と違って記名投票で、賛成148票、反対90票。参議院議員242人の約6割が賛成した。
衆議院で可決されたのは2カ月前だった。記名投票ではなくなぜか起立採決だった。だから賛否は公式記録に残らないとか。新聞の集計では、賛成327人、退席136人、欠席7人、反対2人。衆議院議員475人の約7割が賛成した。
絶対におかしい。国会を一歩離れると、まったく様子が違うことは誰の目にも明らか。ほとんどの憲法学者は憲法違反だと断じ、国会の周りだけでなく、日本列島津々浦々で法案反対デモが行われ、ほぼすべての世論調査は反対が6割と示す。女性は7割に近い人が反対を表明している。
国会の外と中の、この大きなギャップ。
国会がこれほどまで国民の声を代弁しないのはなぜか。それは選挙のせいだ。小選挙区制という選挙制度は、民意を議席に反映しないのだ。最強の1人だけが当選し、他の候補者に入れた膨大な票はすべて死票となる。小選挙区制は「民意圧殺機能」を持つ制度だと言った人もいる(鷲野忠雄弁護士)。
私が立候補した2012年の衆院選では、自民党の得票は43%だった。にも関わらず、議席は79%を占めた。これを「作られた多数派」「虚構の上げ底政権」と命名したのは上脇博之教授だ。
参院も似ている。242人の半数ずつ改選なので141人を選ぶ選挙である。参議院議員の定数は31選挙区2人、10選挙区4人、3選挙区6人、2選挙区8人、1選挙区(東京)10人だ。半数ずつ改選なので、3分の1の選挙区は、最強の1人しか当選しない小選挙区である。参院選も小選挙区制選挙に限りなく近い。
20年以上前に、小選挙区制が導入されたら、今日のようになると、警告した本が手元にある。『小選挙区制が日本をもっと悪くする』(阪上順夫著)だ。阪上教授は言う。
「小選挙区制では、選挙戦が激化し、金権政治を生む。小政党、女性候補は不当に排除され、大政党が議席を独占する。投票率低下のなか、与党が圧倒的多数となり、提出法案は次々に可決されていく。有事立法は強行採決で可決し、防衛費が増え軍事化が進んでいく」
9月19日、小選挙区制の悪の本質を、今日ほどはっきり見せた日はない。
◆安保法案に反対する
◆小選挙区制は女性の声を捨て去る
◆違憲判決から考える格差なき選挙
◆比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
■比例制選挙がいい