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ためこんで翌年一気に使う「政党交付金」

9月13日の朝日新聞に「検証 政党交付金の20年」と題し、政党交付金に疑問を投げかける記事が出ていました。9月7日の続きです。

朝日は、共産党を除く政党は、政党交付金の多くを「選挙」のために使っていると書いています。つまり選挙のない年は、できるだけ使わずに貯め込んで翌年に繰り越して、貯め込んだ政党交付金は、選挙がある年に、政党のテレビコマーシャルや新聞広告に使うというのです。

本来、政党交付金は政治活動に使う1年単位の資金であり、年内に使わなかったら国に戻すと決まっているらしいのです。でも、それは建前で、「基金」という新しい口座をつくって、そこに移しておけば、国に戻さなくてもいいというのです。

朝日の見出しは「参院選実施の2013年」「前年までにため一気に支出」。これは、秋田3区の話だ、と思った私です。

三井 マリ子さんの衆院選は2012年で、その選挙の総責任者松浦大悟参議院議員は、翌2013年に参院選でした。

マリ子さんが立候補した頃を考えてみますと、民主党は、消費税だけでなく福島の原発処理の不手際など、国民から見放されて、大逆風が吹き荒れていました。国会議員の離党があいつぎ、その周りの党員や支援者が大量離党・離反していきました。秋田3区もそうでした。負けが目に見えていた民主党から立候補する人などいるわけがありません。

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そんな時ですから、民主党秋田は関係者を総動員してマリ子さんに説得を続けた。偶然ですが、民主党関係者の勧誘をマリ子さんが断ったその場面に、私は居合わせました。 その後も勧誘は続けられ、マリ子さんは、秋田に移住して政治活動をする決意をします。

そんなマリ子さんに対して、懇願した民主党は、あろうことか最低限のポスター代さえケチるなど経費を抑え込みました(写真)。

マリ子さんは予想通り落選でしたが、「秋田で政治活動を続けます」と発表をしました。全国の友人から寄せられたカンパで何とか政治活動を続けられると思ったそうです。 ところが、マリ子さん個人に寄せられたカンパはほぼ使い果たされていたことが後でわかります。

一方、マリ子さんを代表にした秋田3区の民主党支部に入った政党交付金のほうは残されて、 「基金」口座に移されていたのでした。

そして、マリ子さんは秋田を追い出されます。

政党交付金の必要性に関して、自民党関係者は、「交付金を配ることで落選者も新人も政治家を続けられる」と朝日で言っています。政党交付金は厳密には支部に出るのですが、支部代表は候補者ですから、落選した三井マリ子候補が秋田で活動を続けるための資金だったのです。

しかし、マリ子さん(支部代表)がいなくなれば、民主党秋田の関係者が使えます。では、誰が使おうとしたのでしょう。

「参院選実施の2013年」「前年までにため 一気に支出」という朝日の見出しを見て、まさにこれだと私は膝をたたいたのでした。

大倉 由紀子 (さみどりの会*)

▼朝日新聞2015.9.13「検証 政党交付金20年」 (クリックすると大きくなります)
 

(*)2012年暮れ、2カ月にわたる立候補要請を受けて、三井マリ子さんは秋田移住して衆院選に出た。落選後、松浦大悟議員らに不明朗な会計処理をされ心身ともに損害を受けたと提訴した。さみどりの会は三井裁判を支援する会の愛称。「産むならば 世界を産めよ ものの芽の 燃え立つ森の さみどりのなか」という阿木津英の歌がある。女性は子どもだけでなく、世界を産み出すのだという意味だ。三井さんは、選挙演説に引用しては「私は新しい秋田を産み出したいのです」と結んでいた。選挙・裁判をきっかけにできた、女性と選挙・政治を考えるサイトさみどりの会ホームページには裁判関係の情報が掲載されている。
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【写真:2012年の衆院選中、ポスターを貼り直す運動員。三井候補のポスターは公費の半額分の枚数しか作られなかった。さらに、民主党幹部らがポスター貼りをしていないのにしたことにして労務費を横領した事実が後の警察捜査で判明した。よって豪雪などではがれたポスターのほか、初めから貼られなかった掲示板が多くあったと三井代理人の近江直人弁護士は主張している】
by bekokuma321 | 2015-09-15 16:31 | 秋田