「ルポ 世界でもっとも住みやすい町」を読んで

住みやすい町の世界ナンバーワンに挙げられたノルウェー・フィンマルク県ヴァドソー市のルポルタージュを読んだ。三井マリ子さんが取材して書いたものだ。

そこは、北の国ノルウェーでももっとも北の町だった。同じく北に住む私は「凍った道路を歩く」「厳しい自然環境」というキーワードは心に響いてきた。そんな厳しい環境だからこそ、皮膚感覚として誰もがひとりの持てる力を最大限に発揮して支え合い、助けあわなければ住みやすい町にすることができないことについて大いに頷ける。
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ノルウェーでは魔女狩りに象徴される異端者抹殺の時代の反省を十分に行った。この反省もあり、異質な人との共存共栄、少数の意見反映の精神がしっかりと根本に根付いている。うらやましくてたまらない。

振り返るに、日本では2014年のジェンダーギャップ指数が142カ国中104位という「男女平等」の歩みの鈍さ。どうなっているのか。

教育基本法は、三井さんたちが必死で勝ち取った家庭科の男女共修にシンボライズされるような男女共学がものの見事にバッサリと削除されてしまった。

一方、女性活躍推進法は成立した、その根底に流れるものは「男性並みに働ける女性は登用してやっても良いけれど、あとは自己責任で…」と保育、介護、教育、医療、労働、エトセトラ、女性がまっとうに働き続けられるための施策は見事に置いてきぼりにされている。

働く女性の半分以上が非正規にもかかわらず、一生派遣から抜け出られなくなる可能性を秘めた労働者派遣法も可決されてしまった。連日、大きな反対の声を上げた当時者の声は無視されて・・・。

この3つの法律だけを見ても、当事者である女性が政策決定の場に立ち、当時者の声を政策に反映させなければ、とんでもないことになる、とあらためて思う。

8月に行われた仙台市議会議員選挙の真っ最中、「明日、ひぐちさんの応援に行きます!」と三井さんからメールが届いた。フットワークの軽さに恐縮三昧する中、三井さんは仙台の街中で「ひぐちさんは、女性の貧困を減らすこと、子どもの福祉教育を進めてきた。これらは、道路や建物のように目に見えるものではない。しかしこうした目に見えないものこそ、今もっとも大切なことだ」と街宣した。聞きながら、男女平等の政策はまさに、目に見えないけれど、ひいては「もっとも住みやすい町」につながるのだと思った。

この原稿を書いている9月半ば、ノルウェーでは地方選が行われている。中高生が模擬投票をして選挙結果を出す全国的プロジェクト「スクール・エレクション」の結果も公表された。

今年は行けなかったらしいが、選挙のたびに、三井さんは現地に行ってリアルタイムのレポートを届けていた。男女平等をすすめる仲間として、三井さんのレポートは本当に心強く、即戦力となっている。

仙台市議会は、政令指定都市として女性議員率が25.5%と、日本で一番高い。ノルウェーの数値にははるかに及ばないものの、市町村議会での欠席理由に「出産」の規則改定が明記されるなどの改善がなされた。女性が抱える問題のメインストリーム化は、遅々とではあるが、少しは進んでいる。

c0166264_940322.jpg男女平等の先進地ノルウェーに関してレポートを発信し、日本もがんばろうよ!とハッパをかけまくっている三井マリ子さんには、大いに期待と敬意を表している。

だから私は、決してあきらめることなく、ファイト、ファイトで進み続けたい。

仙台市議会議員 ひぐちのりこ

ノルウェーの魔女裁判から思うこと
仙台市議選
ひぐちのりこホームページ
ノルウェーに学ぶ会:平等の先の平等
樋口典子の「陳述書」
「ルポ 世界でもっとも住みやすい町」(pdf文書)
■ノルウェーの地方選挙についてはノルウェー王国大使館ホームページ【ノルウェー地方選挙レポート 2011:4回シリーズ】
■ノルウェーの男女平等政策についてはノルウェー王国大使館ホームページ【ノルウェーの夏三題】3人の女性の生き方を通して政策を紹介

【写真:ヴァドソー市は北緯70度、午後3時には真っ暗だ。カチカチに凍った道でスケートをする子どもたち。撮影三井マリ子】
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by bekokuma321 | 2015-09-14 10:15 | ノルウェー