いやな予感

三井マリ子さんから「民主党公認で秋田3区から衆院選に出ることになった」と聞かされたのは、2012年の10月ごろだったでしょうか。

あまりの突然の話に何を言ってよいかわからず呆然としましたが、同時にいやな予感がしたことを覚えています。

取りあえず、東京にいて悩んでいてもどうにもならないので、選挙区を訪ね、私に何か出来ることがあるのか考えることにしました。

公示の1週間前ごろ、秋田3区の中心地である横手に向かいました。新幹線からローカル線に乗りついで、横手駅に到着。降りたら、三井さんの友人が車で迎えてくれました。

車で10分ほどだったでしょうか、市街地から離れた田んぼの中に自宅兼事務所の建物はありました。周りには店どころか住宅もなく、こんなところで選挙するのか、と呆れました(写真下)。

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朝早く起きて、三井さんの街頭演説に付き合いました。選挙に出る人なら誰でもすることですが、名前と顔を覚えてもらうために、駅前とか繁華街に立って、マイクを握って簡単な演説することです。

広い幹線道路の車が通り過ぎて行く交差点に立って、三井さんは一生懸命しゃべっているのですが、少子化克服・女性の雇用拡大など、その中身は、車の中の人には聞こえるわけがありません。寒空に女性が1人立って手を振っているというだけだったと思います。

数日滞在して、秋田3区というところに全く土地勘はないし、私に出来ることはないと結論付けました。寒さに気をつけなければいけない体調でもあったため、帰京しました。

さて、いやな予感がしたというのは・・・・。

私は、三井さんを学生時代から知っていましたが、1989年、東京都議会議員選挙を手伝ったことをきっかけに、その後、三井さんの秘書として付き合いが濃くなりました。

その選挙は、私にはビックリするようなものでした。三井さんは社会党(現社民党)公認候補で、しかも現職の都議会議員だったので、私は、選挙区の社会党の区議さんが全力で選挙をやってくれるものだと思っていました。ところが、そうは見えませんでした。選挙というものが初めての経験だった上、社会党内の事情を知らなかった私は、不思議に思いましたが、しだいにわかってきました。社会党内に巣くっていた根深い左右の路線の対立が、三井さんの選挙にも色濃く影を落としていたのでした。

もちろん三井さんは左右の路線対立とは一切関係なかったので、いい迷惑だったのですが、左右双方から批判めいたことも言われ、つらい選挙だったと思います。幸い三井さんも私も、市民運動をしていましたので、そのネットワークをフル回転させて選挙運動をして、トップ当選を果たしました。

都議会議員としての三井さんは、男女平等・女性解放の立場から様々な業績をあげ、私も楽しくサポートさせていただきました。しかし、選挙の時に味わったつらい経験は、その後も表れては消え、消えてはまた表れ、後の社会党離党までつながっていきました。
 
2012年秋、三井さんから、民主党からの熱心な勧誘があって立候補を決断したと聞いて、また政党に都合よく利用されるのではと、とっさに昔が思い出されました。それが冒頭のいやな予感につながりました。

c0166264_23284126.jpg残念ながら、私の、そのときのいやな予感は当たってしまいました。

今回は、政党内のいざこざではなく、もっとたちが悪そうです。選挙が済んだら三井さんを追い出そうとしていたらしいのです。周りに店も住宅もない田んぼに囲まれた郊外の自宅兼事務所に到着した時、こんなところで選挙するのか、と呆れたのですが、追い出すつもりだったら、あそこは最高のところでした(写真上)。

それだけではなく、選挙の収支報告書を候補者本人に秘匿、隠し口座の作成(被告は「知らせた」などと主張)、銀行口座のなりすまし開設、ポスター貼り労務費横領というまったくお粗末なことまでやってくれました。

当たり前ですが、政党の支部代表がいなければ政党交付金は受け取れない。そこで三井さんを支部代表にまつりあげて政党交付金を受け取り、それを流用しようとしたらしいのです。

政党として許されないことです。民事裁判という手段は限界のあるものですが、真相が明らかにされることを祈っています。

木崎 志づ香(さみどりの会*、介護福祉士・介護支援専門員)

【写真上:三井マリ子自宅兼事務所の前に広がる風景。秋田3区の民主党総支部事務所も兼ねさせられた。その隣にあったプレハブが選挙事務所にされた。2012年11月末ごろ撮影。 写真下:「少子化克服には女性の雇用拡大」と街頭演説をする三井さん。2012年12月】

(*)2012年暮れ、2カ月にわたる立候補要請を受けて、三井マリ子さんは秋田移住して衆院選に出た。落選後、松浦大悟議員らに不明朗な会計処理をされ心身ともに損害を受けたと提訴した。さみどりの会は三井裁判を支援する会の愛称。「産むならば 世界を産めよ ものの芽の 燃え立つ森の さみどりのなか」という阿木津英の歌がある。女性は子どもだけでなく、世界を産み出すのだという意味だ。三井さんは、選挙演説に引用しては「私は新しい秋田を産み出したいのです」と結んでいた。選挙・裁判をきっかけにできた、女性と選挙・政治を考えるサイトさみどりの会ホームページには裁判関係の情報が掲載されている。
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by bekokuma321 | 2015-09-11 23:37 | 秋田