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政党交付金のあきれた使い方と裁判

政党交付金のあきれた使い方と裁判_c0166264_12505718.jpg今朝の朝日新聞(2015/09/07)は、政党交付金のあきれた使いかたについて、1面と2面を使って報道しています。「検証 政党交付金20年」という特集です。

三井マリ子さんが今、秋田地裁で争っている裁判は、まさに、この政党交付金のあきれた使い方をめぐって、です。

私は昨年1 月、第1 回目の裁判を傍聴しました。マリ子さんは法廷で、なぜ提訴したかを陳述しました。

選挙後、マリ子さんは、代表である自分の名前で出された選挙収支報告書を、会計をした参議院議員秘書(当時)に見せてほしいと言っても見せてもらえず、年が明けてから催促しても取り合ってもらえませんでした。しかたなく一人コツコツと調査し証拠を集めたところ、政党交付金の使い方に疑惑を見つけたのです。

マリ子さんは、代表に見せられないような支出をしたのなら、「選挙資金の大部分は政党交付金であり、これは全国民が1人250円を出し合った血税なのだから、国民を裏切る行為だ」と法廷で言いました。

政党交付金は、朝日によると、2013年は357億円が各政党に交付されています(共産党を除く)。その3分の1の104億円は人件費だったというのです。その人件費の実際の中身は、秘書への給料、選挙対策費、息子の飲食費や生活費、情報提供者への謝礼金だったとか。人件費には領収書をつけなくてもいいので、「ばれるとまずい支出」は人件費という名目にすればいいからだそうです。

この欺瞞に満ちた使い方について、私はよく理解できました。マリ子さんが2015年6月24日の裁判に提出した「陳述書2」を読んでいたからです。「陳述書2」13ページ「人件費は領収書がいらない」から引用します。

【(前略) いったん基金口座に積んだ政党交付金の残金は、次の年におろして、収入に組み入れて堂々と使うことができるのです。 その支出の仕方も、最近知ったのですが、人件費や1件5万円以下の支出であれば領収書はいりません。 また人件費以外でも、5万円以下に分割することによって、いつ、何に、どのくらい使ったかを公開しなくてよいようになっているのです。 これが今日の政党交付金制度なのです。 しかし、私が紛失届を出したおかげで、私が代表である第3総支部に交付された政党交付金の残りは、参議院議員らによって勝手に使われることはなくなりました。】

人件費に入れてしまえば領収書がいらないとは驚きです。その理由は、朝日によると、「秘書らの年収が分かり、プライバシーに関わる」からだそうです。政党交付金は国民の税金です。1円に泣く庶民を愚弄しているとしか言いようがありません。

民主党秋田県の先輩議員や秘書たちは、選挙5日後、前触れなく集団でマリ子さんの自宅兼事務所にやってきてマリ子さんを追い出しにかかりました。打ちのめされたマリ子さんは、秋田を去ります。

ところで、マリ子さんの衆院選では政党交付金が440万円残りました。今秋、この政党交付金は国庫に返還される予定です。

政党交付金の残金は国庫返納と決められていても、実際は国庫返納する政党支部などほとんどありません。法律に例外を作っているからだそうです。「基金口座」をつくってそこに残金を移すと、翌年使えるというものです。

マリ子さんが秋田にいられたら、翌年、自分の政治活動に使えました。代表であるマリ子さんを追い出したら、そのカネは、追い出した側が「人件費」などに勝手に使える。そこでマリ子さんに、「基金口座を作らないと罰せられる」と脅してまで口座を作らせました。そして真相を悟られる前に、マリ子さんを秋田から追い出しにかかったのだと思います。

ところが、秋田を去ったマリ子さんは、調査の途中、秋田銀行に出向いて「会計担当者にいくら連絡しても返事がないので困っている」と訴えました。そして紛失届を出した。その結果、マリ子さんを追い出した側は、基金口座から政党交付金を引き出せなくなってしまったのです。

ということで、マリ子さんが代表だった民主党秋田第3総支部の政党交付金440万円は、マリ子さんから民主党本部に戻され、党から国庫に戻されることになりました。国庫に返納されるのは今秋だそうです。

「長い物には巻かれろ」ではダメだーーこの裁判で私は学びました。

大倉 由紀子 (さみどりの会*)

▼朝日新聞「検証 政党交付金20年」 (クリックすると大きくなります)
 [朝日2015.9.7_1面]

 [朝日2015.9.7_2面]

【写真:第1回裁判の報告会にて。左から森田祐子弁護士、三井マリ子原告、近江直人弁護士、澤入満里子弁護士。秋田市内】 


(*)2012年暮れ、2カ月にわたる立候補要請を受けて、三井マリ子さんは秋田移住して衆院選に出た。落選後、松浦大悟議員らに不明朗な会計処理をされ心身ともに損害を受けたと提訴した。さみどりの会は三井裁判を支援する会の愛称。「産むならば 世界を産めよ ものの芽の 燃え立つ森の さみどりのなか」という阿木津英の歌がある。女性は子どもだけでなく、世界を産み出すのだという意味だ。三井さんは、選挙演説に引用しては「私は新しい秋田を産み出したいのです」と結んでいた。選挙・裁判をきっかけにできた、女性と選挙・政治を考えるサイトさみどりの会ホームページには裁判関係の情報が掲載されている。
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by bekokuma321 | 2015-09-08 13:01 | 秋田