豪華船での夏のバカンス

ノルウェー皇太子一家が、豪華モーターヨットMia Elise で夏のバカンスを楽しんだ。

皇室予算にその支出がなく、誰かの贈り物だったらしい。これに対して、ノルウェーメディアは、連日、批判的記事を載せている。

平等を大切にする国で、夏のバカンスをとれない貧しい子どもたちがいるのに、国のシンボルである皇太子夫妻が超贅沢な夏休みをとるのは間違っているというのだ。夫妻は、誰のプレゼントかを明らかにしなかったため、さらに批判を呼んでいる。

味のある批判が多く、ちょっと感動したので、要訳する。

「国の安全への脅威となるなら秘密にしても許されるだろうが・・・。王室は公費を受けている。透明であるべきだ」

「プレゼントした人に恩義を感じるはずであり、王室は贈り主に何で返すのだろうと国民が考えるのは当然だ」

「すべての公人は透明であるべき。情報公開は、王室にも厳しく適用されるべきだ」

「王室は、社会のすべての分野に要求される透明性の外にあると考えているのではないか。その考えは驚くにあたいしないが、民主主義における王室の問題のひとつである」

c0166264_1461961.jpg同じようなケースを追及された、公人がもうひとりいる。ベルゲン市長トル―ド・ドレブランだ(保守党。写真はベルゲンHP・市長のページ)。こちらは政治家だから、もっとも透明性を要求される。メディアの批判は日ごとに強くなる。

彼女は、今週9月1日から無給の休暇に入ると表明した。

市長は、女ともだちと2人で豪華客船で夏休みを楽しむはずだった。しかし、自宅で病気療養の身となった。本当に病気かは謎だが病気休暇届けを出した。

市長の船上での贅沢な夏休みは、豪華客船の船主からのプレゼントだった。ことが発覚したのは、6月。記者会見で鋭い批判を受けた。「情けない対応だった」と、ノルウェーの友人は私に語った。その後、市長は2カ月間、病欠をとった。いったん捜査が終わったとされて、8月から市長に復帰した。

ところが、メディアの追及や調査はやまなかった。彼女が記者会見で虚偽情報を告げたことや、新たな疑惑が出てきた。最も深刻なのは、彼女が市長の地位を利用して、豪華客船の登録にかかわって船主に便宜をはかったらしいとされる贈収賄疑惑だ。

いったん捜査をやめた警察も激しい批判にさらされはじめた。警察は、捜査再開を決断した。

c0166264_8374758.jpg今、統一地方選の真っ最中だ。9月14日は投票日だ。候補者リストは半年前に決まっていて、彼女は保守党候補者リスト73人の2番目に載っている。ベルゲンは伝統的に保守党の強い地方であり、彼女の当選は間違いないだろう。保守党は、「選挙は政党の政策を判断するものです」と躍起だ。

日本の選挙と違って比例代表制選挙のノルウェー有権者は、政党を選ぶ。だから保守党の弁は当たっている。とはいえ、どの自治体の政党も市長をシンボルにして選挙戦を闘う。戦意がそがれるのは明々白々。

ノルウェーは、国際機関から「政治家・司法・警察関係者の汚職を許さないという姿勢は称賛に値する」とされている(GRECO)。そんな国をつくってきたのは、マスメディアの追及や国民の批判精神の強さなのだ、と教えてくれたニュースだった。

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【写真右下:ベルゲン市議会議員選の保守党リスト。73人の名前、年齢、職業がズラリ。ほぼ男女交互だ。日本の自民党に当たる保守党でさえ、クオータ制を尊重としていることが証明される。通常は住所も書かれるがここにはない。これが投票用紙となる】
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by bekokuma321 | 2015-09-04 02:02 | ノルウェー