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三木草子のバルセロナ・リポート

先週、スペインを訪問中の三木草子さんからレポート「女たちのバルセロナ」が届いた。読みながら、こうした女たちの日ごろの連帯が、5月の女性市長誕生への力となったのでは、と思った。転載許可が得られたので、FEM-NEWSの読者のみなさん、どうぞお楽しみください。

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バルセロナの女たちの活動場所が、偶然にもお互いに歩いて5分ぐらいの所に集まってきました。

最寄駅は地下鉄ウルキナオナ。中心地だけれど、観光客の喧騒からちょっと隠れたいい場所にあります。京都で言えば、烏丸御池からビオ亭やギャラリーヒルゲート、男女共同参画センターウイングスに行けるようなものです。

ウルキナオナ駅から1、2分の世界遺産カタルーニャ音楽堂(Plau de la musica)をめざします。その通りはサンペール上通りで女の本屋さんProleg(プロローグ)。次に中通りで女性映画祭のDracMagic(マジックドラゴン)の事務所。そして下通り、女性スクールと図書館のLa Bonne(ラ ボンヌ=旧フランチェスカ・ ボンヌメゾン)。どの道も乗用車1台が通れるくらいの古い街並みです。ラ ボンヌから大通りに出て、そこを横切って路地を入った所に、Ca la Dona(女の家)。ここは大聖堂から近い所。

簡単にご紹介します。詳しくはホームページで。カタルニア語なので、翻訳を使ってください

1)女の本屋プロレグProleg
20年の歴史ある女の本屋さん。母のアンジェラが開店して、いまは娘のヌリア1人で頑張っています。(京都の)中西豊子さん母娘みたいですね。著者との交流やワークショップができるスペースが奥にあります。
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【写真上:左アンジェラ、右ヌリア。 下:入った所に子供の本。バージニア・ウルフ、ココ・シャネル、フリーダ・カーロ、オードリー・ ヘップバーン、イサドラ ダンカンの伝記が並ぶ】

2)バルセロナ女性映画祭ドラクマジック(DracMagic)
フランコ統治下の1970年に、女性がコミュニュケーション メディアの中で見える存在になること、映画分野において女性の映画監督が存在することを示すこと、などを目的としてドラクマジックを設立。毎年6月に国際女性映画祭を開催して活動。事務所には1970年からの貴重な映像資料が保存されています。
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【写真上:1970年当時のDracMagicのロゴが額に。当時のサイケ調がなつかしい。 中:資料室兼ミーティングルーム。 下:仕事場。1階で入り口以外、窓がないのが悩みとのこと】

3) ラ ボンヌ(La Bonne)
ラ ボンヌは、ウーマンズ・スクール、講座、ワークショプ、イベントなど、女性の教育と文化活動をおこなっています。2階は誰もが使える図書館で、WIFIも利用できます。

ここは、もとはと言えば、20世紀の初めにフランチェスカ・ボンヌメゾンがヨーロッパ初、世界初の女性のための図書館と文化教育センターを作ったのが始まりです。1922年に現在の場所に引っ越しました。

フランチェスカ・ボンヌメゾンは裕福な織物商の娘で、当時の働く女たちの教育に力をいれ、結婚後も夫が嫌うのを物ともせず、女性のための活動を続け、夫の死後はそれに専心。

建物は、スペイン市民戦争の後半フランコ派に撤収されて活動できなくなり、1941年、女性の教育活動のために使うことを条件にバルセロナ市に引き渡されました。

その後、さまざまな変化をくぐり、1990年代にある女性がこの協定書を発見、市にこの建物を女性のために使うよう要求してフェミニストの大運動が展開されました。4~5年の運動の結果、2002年、4階建ての建物の3、4階を女性のために使うことが決まり、女たちはフランチェスカの遺志を引き継ぎ、現在に至ります。
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【写真上: ラ ボンヌの入り口にウーマンズ スクールの旗。  下: 設立当初の「女たちの図書館」の石彫りプレートが入り口の上に。この建物は16~17世紀のもの】

4) カラドナ(女の家 Ca la Dona)
引っ越してきたばかりですが、ビルは10世紀前後の建物。3階建で、1、2階がカラドナ、3階は他のグループが使用することになっていて、現在は1階のみが改装済み。とても素敵に改装され、会議室、キッチンもあります。市から提供されたビルですが、光熱費などは負担。

専任スタッフ、運営グループがあり、法律相談、シェルター相談などの活動のほか、複数の女性グループが登録して 活動。市からの助成金もありますが、足りないのでメンバーが年3、4回の分割払いでサポート。
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【写真上:玄関を入った所にこんなアート作品が…。床には19世紀の床タイル。写真では見えないが、天井には古い木の梁が使われている。  中:壁には世界各地の女たちのデモの写真。カタルーニャ語は70年代の歌の歌詞。「生きつづけるために歩く、歩きつづけるために生きる…」  下:プレゼントの「女の暦」を手に、専任スタッフの二人のアナさん】

三木 草子(ミキ ソウコ)
1970年代はじめよりウーマン・リブ運動に参加、ミニコミ『女たちから女たちへ』発行。編著『資料日本ウーマンリブ史』全3巻(松香堂書店)。編著『英語で読むアメリカのフェミニズム』(創元社)、共訳『ゴスペル・サウンド』(ブルース・インターアクションズ)など。現在、シニア女性映画祭で活動。

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三木草子さんが訪ねたバルセロナ女性の活動拠点のウェブサイト
バルセロナ 女の本屋Llibreria Proleg
バルセロナ 女性映像学校ドラクマジック(マジック・ドラゴン)
バルセロナ 女性センター「ラ・ボンヌ」
バルセロナ 女の家「カラドナ」
by bekokuma321 | 2015-07-23 12:50 | ヨーロッパ