2015年 05月 25日
怒れる人たち、スペイン政治の中枢に
日曜日、バルセロナとマドリードの2大都市で反貧困を唱える政党が勝利したという。
バルセロナ市長には、バルセロナの"怒れる人たち"がつくった新党「普通のバルセロナBarcelona En Comú」から立候補したアーダ・コラウAda Colau(41)が就任する見込みとなった(写真)。
Ada Colauは、"怒れる人たち"の反貧困活動家だ。バルセロナ市民は、まったく政治経験のない反体制運動家を市のかじ取り役に選んだのだ。Ada Colauは「ゴリアテを破ったダビデのようだ」と小が大を制した奇跡を喜んだ。
「普通のバルセロナBarcelona En Comú」は、Ada Colauをリスト(候補者名簿)のトップにして15人で市議会に挑戦した。リストをみると女、男、女、男、と順番に並んでいる(注)。同党は、市議の41議席のうち11議席を獲得した。今後、他党との連立協議を経て、彼女が市長となる。
新党のコアとなったのは、怒れる人たち(Indignadosインディグナドス)。2011年5月15日の反貧困、反差別を求めるデモ終了後、そのまま広場占拠が始まり、この運動に参加する人たちを表す言葉となった。
Ada Colauは、勝利を目前にして、こう語った。
「バルセロナが民主主義の町、社会正義の町と言われるようになる、こう考えるだけで、最高にドキドキします。バルセロナには、資源も資金も技能もある。唯一なかったのは、政治的意思です」
公共住宅の充実と、公共財源の平等的配分を掲げている。
「やるべきこと」はこうだ。市長歳費を2200ユーロ(日本円で30万円以下)に減らす、公用車を撤廃する、委員会への議員の出席予算を撤廃する、市長任期は2期まで・・・。行政の委員会などすべての会議の内容はインターネットで公開する、という。
政治家は、貧しい市民に比べ、手にするカネが多すぎる。日本も、議員歳費半額にするとかの改革をしたら、地方財政がどれだけ楽になることか。
一方、マドリード市長には、元検事で共産党員のManuela Carmena(71、写真左側)が、貴族市長から市長職を打ち破る闘いをした。他の左派党との連立が成功すれば、彼女が市長となる。
現市長Esperanza Aguirre(63、写真右側)は、貴族の称号を持ち、国民党初の女性党首だった。有力市長候補ともに女性で、日本なら“女性同士の闘い”と揶揄されたかも。
とにかく、スペインで、反貧困、反差別をスローガンにする新党が地方政権を握った。これぞ、政治だ。今夜はスペインワインで乾杯!
■Spain's indignados could rule Barcelona and Madrid after local election success
■Barcelona's anti-poverty crusader leads race to be city's next mayor
■Ada Colau arrebata Barcelona a CiU
■Barcelona En Comú
■Ahora Madrid
■女人禁制118年を破った指揮台の女性
■注:下が「普通のバルセロナ」のリスト登載候補者。比例代表制選挙なので、政党が候補者の順番を決めて、リストを作成する。有権者は支持する政党のリストを1枚選んで投票箱に入れる。選挙後、政党の獲得票に比例して議員数が決まる。男女交互のリストの政党なら当選者も男女半々となる。最大政党のリストのトップの候補者が市長となる。市長選はない。