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イギリス6割が選挙制度改革に賛成

イギリス6割が選挙制度改革に賛成_c0166264_23164564.jpgいかに女性議員が日本に少ないか。このテーマを日本のメディアが報道するようになって、うれしい。

今朝の朝日は、家庭との両立が壁、と多くの女性衆議院議員が応えている、と報道していた。

女性議員の少なさには、そうした意識の問題や慣習のしばりもあるだろう。しかし、日本の政界における女性の少なさの最大要因は選挙制度にある、と思う。

女性議員を増やすには、小選挙区制から比例制に変えることだ。少なくとも、現行の小選挙区比例並立制の比例部分の数を増やすことだ、と思う。

もうじきイギリスの総選挙がある。

有力政党のなかに3人女性党首がいて、討論会では女性の存在も目立つ。労働党は、ピンク色のバスを特注して女性有権者に投票を呼び掛けた。しかし、選挙の争点に女性問題はよく見えない。賃金差別撤廃、DV・セクハラなど女性への暴力根絶、高齢女性の年金の低さ解消など・・・は優先課題に登っていない。

こんな実態に業を煮やしたのか、先日、BBCの人気女性コメディアンSandi Toksvigが「女性平等党 The Womens Equality Party」を創設すると発表した。2020年をめどに、国会に打って出るという。女性は多数派であり、女性の課題を解決することは、女性だけのためでなく、男性のためでもある、と主張する。

北欧では、いち早く「フェミニスト党」ができて、同様の主張で、支持を伸ばしている。

その北欧諸国の政界の女性進出の高さは、他に追随を許さない。スウェーデン、ノルウェー、フィンランドは、内閣の半数が女性であり、国会議員の50%から40%は女性だ。

北欧諸国は、どこも比例代表制選挙だ。国会も地方議会も比例代表制で選挙がなされる。2000人の小さな自治体でも、大きな政党はそれなりに、小さな政党はそれなりに議員を出し、女性議員は4割程度を占める。

今朝、イギリスの市民団体「選挙改革協会」からメールが届いた。

「あと2日で、小選挙区制が、完全に時代遅れであることがはっきりする」と冒頭で述べる。

日本は、1990年代半ば、中選挙制から小選挙区比例代表並立制に選挙制度を変えた。基本は小選挙区制だ。小選挙区制の母国はイギリス。そのイギリスで、「小選挙区制は時代遅れ」の声がどんどん大きくなっているのだ。

選挙改革協会によると、比例代表制という公平な選挙制度の支持者は、今回、全体の4分の3に上ったという。

「今日、インデペンダント紙は、第1面トップで、私たちの代表を選ぶもっといい制度を支持する人が圧倒的に多いと報道」と紹介している。

なぜイギリス国民は小選挙区制に不満なのか。

「票と議席がマッチしない選挙制度に不満をもつ人が増えている」からだという。選挙改革協会は、「今こそ変革の時だ」と唱える。

イギリスでは、「10人に1人が、木曜日、戦術的投票をする」。すなわち、最も支持する候補者ではなくその次の候補者、または3番目の候補者に投票する。気に入らない候補者を落とすためにそうせざるをえないのだという。

ここには、「幻滅への処方箋」しかないという。

すなわち、イギリスでは、木曜日の総選挙を待つまでもなく、「368議席もの多数の議席はすでに決まっている」。その選挙区で当選者を出せないことが確実な政党は、「その選挙区を捨て去って、接戦区に集中する」。だから、選挙に関心など持てるはずがない。そうした有権者は2700万人にのぼるらしい。

最も票をとったひと1人だけが当選する小選挙区制は、多様な意見を持つ人々の代表を選ぶ方法ではない。とりうる制度は、政党の得票に応じて議席が配分される比例代表制だ。

イギリス6割が選挙制度改革に賛成_c0166264_21214277.jpgイギリスでは日本のようにしょっちゅう解散・総選挙とはならないらしい。供託金も日本の300万円に対し、7万円程度だ。キャンペーンも戸別訪問が主で、朝から晩までの名前の連呼はない。投票も、候補者名を書くのではなく、政党のシンボルマークにチェックを入れるだけ。なるほど、日本の選挙よりは楽そうだ。それでも、最強の勝者ひとりを選ぶ選挙キャンペーンは、女性には過酷に違いない。

北欧のように、「出産直後に選挙だったが、政党の候補者リストの上位に登載されていたので当選でした」というような女性などありえない。

20年以上前から「女性議員を増やそう」「クオータ制導入を」と運動している全国フェミニスト議員連盟という団体がある。私も、長年、仲間たちと頑張ってきた。国会議員に意見書を出したり、集会を開催したり・・・。女性が5割、4割を占める北欧の政治や選挙システムを調査して紹介もしてきた。

日本の女性の能力、判断力、指導力は男性に比較して決して劣ってはいないし、日本の女性たちが北欧諸国の女性に比べ、劣ってもいない。

問題は、やはり選挙制度だ。

We're on a roll
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Election 2015: Sandi Toksvig launches Women's Equality Party
General election 2015: a campaign full of women but not about them
a fair deal for women
Election 2015: General election FAQs
フランスの政党交付金は男女平等化資金に
小選挙区制は女性の声を捨て去る
比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
女性の衆議院議員は1割に満たず
政治は男のものではない
日本の女性国会議員、189カ国中163位
男女平等なくして民主主義なし
女性議員を増やすために ~ノルウェー選挙に学ぶ~
原発事故から考える民主主義
男性偏重政治が原発政策にもたらす弊害
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【写真上:選挙改革協会のメールより転載、写真下:英国の投票用紙。候補者名の横に所属政党のシンボル・マークがあり、その右の空欄に×をつける。日本のように有権者が候補者名を書くことはない。Politics in the UKより】
by bekokuma321 | 2015-05-06 23:10 | ヨーロッパ