祝! ヘイトスピーチは人種差別の判決

12月9日、在特会(在日特権を許さない市民の会)のヘイトスピーチは人種差別だとする判決が、最高裁で確定した。本当によかった。

ヘイトスピーチとは、差別と憎悪に満ちた攻撃的言葉をさす。京都にある在日朝鮮人学校の生徒がそうした攻撃を受けて苦しんでいることを知ったのは、2009年ごろだったと思う。

在特会の関西支部長だった人から攻撃された経験を持つ私には、他人事ではなかった。

私は、2000年から大阪府豊中市の男女共同参画推進センター館長をしていた。あるときから、豊中市議会で、議員質問の体裁をとった男女平等攻撃が始まった。いわゆるバックラッシュ(男女平等推進への反動)である。

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議会でバックラッシュ攻撃をくりかえしたのは北川悟司議員らだ。と同時に、センターには自称市民という人たちがやってきて、受付の対応・施設利用方法・ライブラリー蔵書などに、いちゃもんをつけてきた。自称市民のなかには、増木重夫在特会関西支部長がいた。増木支部長は、なんと、北川議員の選挙を長年にわたって仕切ってきた参謀でもあった。

バックラッシュ攻撃は、陰湿で組織的だった。誹謗中傷の噂を流す、嘘八百ビラを配る、男女平等行政を攻撃する指南本をつくる・・・。一例をあげる。

ある土曜の夜、私は豊中市役所の会議室に呼び出された。そこには、北川豊中市議会議員、そして彼が代表をつとめ、増木重夫が事務局長をする「教育再生地方議員百人と市民の会」の人たちがいた。この会は「日本会議」、「新しい歴史教科書をつくる会」と密接な関係を持つ右翼的組織である。顧問をつとめるのは、山谷えり子参議院議員だ。

そのひとたちの嫌がらせ的攻撃は、ほぼ3時間にわたった。最後のほうで、北川議員が要求を通そうとテーブルをバーンと殴打した。閉庁日夜のひと気のない豊中市役所廊下に、彼の強打した音が鳴り響き、人権文化部の部屋にいた幹部は「ここまで聞こえた」と言った。

後に、豊中市議会議員らのバックラッシュに屈した豊中市行政幹部によって首を切られた私は、1年後に大阪地裁に提訴。足かけ7年、最高裁で、私の勝訴が確定した。

裁判を通じて、在特会など日本の右翼的組織が、なぜわがもの顔に悪行を続けられるかがわかってきた。

右翼的組織と議員はもちつもたれつの関係にあるのだ。議員は、選挙の集票活動に右翼的組織がほしい、組織は悪行を通すために議員がほしい。

こうして、右翼的組織の無理難題は、議員を通して、行政へと伝わる。議員の言動に過敏な行政幹部は、右翼的組織による違法的言動だとわかっても、手を打たない。

私が経験した豊中市のバックラシュ攻撃は、一地方自治体の嵐というだけでない。日本列島を吹き荒れるファシズム的運動の一断面なのだ。








最高裁で確定した、豊中バックラッシュ事件の大阪高裁判決は、こうだ。

高裁の塩月秀平裁判長は、雇止めと採用拒否の過程で受けた侮辱的仕打ちは「人格権の侵害」と断定した。

豊中市行政側の不法行為の背景には、男女平等を毛嫌いする一部勢力(市議とその支援団体)からの「陰湿、執拗な組織的攻撃」があった、と述べた。

核心部分は以下の通り。

「財団の事務局長および財団を設立し連携関係にある市の人権文化部長が、
事務職にある立場あるいは中立であるべき公務員の立場を超え、三井に説明
のないままに常勤館長職体制への移行に向けて動き、三井の考えとは異なる
事実を新館長候補者に伝えて候補者となることを承諾させたのであるが、これ
らの動きは三井を次期館長には就かせないとの明確な意図をもったもので
あったとしか評価せざるを得ないことにも鑑みると、これらの行為は現館長の
地位にある三井の人格を侮辱したものというべきであって、三井の人格的利
益を侵害するものとして不法行為を構成する。」(注)

さらに、塩月秀平裁判長は、「本郷部長らがKと接触して候補者の内諾を得たのは、あってはならないところを一部勢力の動きに屈し、むしろ積極的に動いた具体的行動であった」とした。

くわしい事実や、事件の背景などについては、『バックラッシュの生贄』(三井マリ子・浅倉むつ子著、旬報社)を。

山谷えり子国家公安委員長と在特会幹部増木重夫の関係
読者は二つの怒りを体験する:『バックラッシュの生贄』を読んで
ファイトバックの会
ニコン「慰安婦」写真展とバックラッシュ事件をつなぐもの
院内セミナー「 バックラッシュを跳ね返して新しい時代へ 」のご案内
浅倉むつ子「男女共同参画社会実現のための訴訟でした」
バックラッシュ( Back lash )年表

【注】わかりやすくするため控訴人を三井と書き替えた。
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by bekokuma321 | 2014-12-12 11:29 | その他