イタリアの精神保健改革

日本の精神医療はこれでいい、などと思っているひとはいない。

イタリアは精神病院をなくした。いったいどうやって。病院廃絶後、いったいどうなった。イタリア精神保健改革の語り部ロベルト・メッツィーナが日本にやってきて、東京と大阪で講演会が開かれた。

大阪講演については、フリーランス・ライターみわよしこさんのルポをどうぞ。

取材メモ:イタリア・トリエステの精神医療に関する講演(上)
取材メモ:イタリア・トリエステの精神医療に関する講演(中)
取材メモ:イタリア・トリエステの精神医療に関する講演(下)
取材メモ:イタリア・トリエステの精神医療に関する講演(おまけ・私見)

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基本的事実
トリエステ県(人口約24万)精神保健資源の数々(2012年)

◎トリエステ保健公社:
この下に家庭医、訪問看護、リハビリ、高齢者介護などの部門と並んで精神保健局がある

◎地域精神保健センター4か所:
トリエステは4区画に分けられ、それぞれに精神保健センターがある。住民約6万人に1か所。発足以来24時間365日無休。各センターに6~8室のクライシス用ベッドあり。トリエステ大学精神科医療センターと連携して医学生教育にも使う

◎市民病院に5床の精神科救急ベッド:
SPDC直訳すると精神科診断治療サービス。昼夜オープンだが、患者のほとんどは翌日にはセンターに移される。病棟医はセンターの医師が交替で勤務。精神保健センターの管理下にある

◎夜間の救急態勢:
トリエステ県内4つの地域精神保健センター各々ナース2人、ナース1人オンコール状態。市民病院SPDCにもナース2人。精神科医はトリエステ全体で1人がオンコール状態

◎精神保健の全スタッフは215人:
精神科医26、臨床心理士9、ナース130、精神保健福祉士6、事務28、その他は教育士、行政官など

◎精神保健サービスを利用した市民は年に合計5776人:
精神科の敷居が低くなって市民のアクセス数は病院全盛時代より倍近く増えた

◎社会的に不利な立場の人々のための生活協同組合13か所:
全ての障害者、移民、軽い刑の受刑者、長期失業者……が一緒

◎支援レベルに応じたグループホーム12軒60人分:
24時間支援、12時間支援

◎家族会・患者会支援。ボランティア振興:

◎刑務所・拘置所への精神保健出張サービス:
1978年以来続けている。1971年トリエステから司法精神病院に送られた人24人。2002年4人、2007年以降ゼロ。これは出張サービスの成果

◎強制治療は2000年代の年平均が人口10万人あたり7件:
年々減る傾向。強制治療にも強硬派からマイルド派までいろいろなレベルがあるので一概に語れない。トリエステはマイルド派で拘束具は使わない、電気ショックもない

◎自殺予防プログラム:
1971年の自殺者57人、2008年15人、プログラム創設以後大幅減

◎精神保健コストは精神病院全盛時代より約37%安くなった
精神病院しかなかった1971年のコストは今日換算で2800万ユーロ。精神病院の全くない2011年は1800万ユーロ。うち市民病院精神科コストが全体の6%、それ以外の精神保健ネットワークのコストが全体の94%)1961年

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2013年12月、ペッペ・デッラックア(精神科医、前トリエステ精神保健局長)とマリア=グラツィア・コリアティ・デッツァ(精神科医、トリエステ市議、ペッペの伴侶)が来日講演した。基本となる事実は、そのときに用意した資料。出典は180人のMattoの会ホームページ
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by bekokuma321 | 2014-11-23 17:05 | ヨーロッパ