国を訴えた女性、中国電力を訴えた女性

c0166264_17122910.jpg10月は、閣僚の政党交付金や政治資金騒ぎで、大事なニュースを逃すところだった。

厚生労働省の係長が、女性であることを理由に昇格差別を受けたとして、国に対して、謝罪と損害賠償を求める訴訟を、東京地裁におこしたニュースだ。

性別による雇用差別を禁止する「雇用機会均等法」の責任省は、厚生労働省である。そこで働く現役の役人が、昇格における女性差別を訴えたのだ。

この日に至るまでどのくらい悩んだだろう。どんな思いで弁護士事務所に足を運んだことだろう。そこに至るまでの彼女の苦しみの軌跡に思いをはせてしまう。

朝日新聞10月21日によると詳細はこうだ。

【 訴状によると、女性は現在、統計情報部に所属。1988年に国家公務員2種採用試験に合格し、翌年入省。96年に係長になったが、その後、18年間昇格していない。一方、同じ2種試験で採用された同期の男性職員のほとんどは課長補佐級以上になっているとしている。
女性は、保育士や介護福祉士の資格をとるなど能力向上に努力し、昇級も毎年認められているといい、「勤務成績、職務能力などで男性に劣ることは断じてない」と主張。「男女間の昇格の差は女性蔑視が原因」として、男性と同様に昇格していれば受け取れていた賃金分の賠償や、国による謝罪や改善の約束を求めている。】

このニュースで思い出すのは、中国電力の昇格・昇進の女性差別裁判だ。

訴えた長迫忍さんは、中国電力に20年以上働いてきたベテラン社員。長迫さんは、見てきた。同期で同学歴の男性社員が、どんどん昇格して、賃金があがっていく。長迫さんを置き去りにして・・・。

長迫さんは、長年の我慢と沈黙を破って、これは女性差別だ、と、自分の勤め先を提訴した。すごい勇気だ。

そんな長迫忍さんに対して、地裁も高裁も敗訴の判決を下した。代理人の1人宮地光子弁護士は、「判決は、長迫さんが、13年間も同じ等級に留めおかれたことを違法でないとしている」と、厳しく指摘している。そして、その理由は、人事考課だ、という。

人事考課について、判決は、「個人の成果だけでなく、職場の一体感やチームワーク向上に対する能力・成果も求めていたものというべきである。」と述べている。そのうえで、「ところが、上記のとおり、控訴人は、業務の結果については高く評価されている一方、協力関係向上力、指導力については問題があると評価されていた」としている。

c0166264_8433277.jpg女性は能力はあるけど、回りとうまくやれない、女性は指導力がどうもね――これは、この社会の女性に対する決まりきった偏見だ。その偏見ではかった結果を、人事考課に使う、それはすなわち女性差別そのものだろう。差別を続けている職場への一体感を、差別された女性に求めるのも、本末転倒だ。

長迫忍さんは、勇敢にも最高裁に上告をした。

2人の女性の闘いぶりを注目していこう。日本の女性の将来を決める大事な大事な裁判だ。

【写真上:厚生労働省のロゴマーク。赤は女で青は男。そんな決まりきったイメージを使うこと自体、気に入らない。そのうえ赤が青よりずっと小さいではないか。下:男性管理職が男性社員を評価する横で疎外される女性社員。20年前の北欧理事会「男女同一賃金同一労働」ポスター

人事考課まるのみの高裁不当判決—中国電力男女賃金差別事件
WWN ニュース 中国電力男女賃金差別裁判
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by bekokuma321 | 2014-11-02 15:04 | その他