女性閣僚辞任と政治資金

10月18日、山谷えり子、有村治子、高市早苗の3閣僚は、そろって靖国を参拝した。その2日後の20日、小渕優子と松島みどりの2閣僚は、そろって辞任した。

女性5閣僚のうち、辞任した2人は、日本最大の右翼組織「日本会議」に所属していない。ごぞんじ「日本会議」は、選択的夫婦別姓を目の敵にするなど、「女性差別撤廃条約」を否定してきた。

これで、女性閣僚といえば右翼3人となった感がある。ちなみに新法務大臣に任命された上川陽子議員も日本会議とかかわりのある神道政治連盟(安倍晋三代表)所属だ。

首相安倍晋三が、閣僚に女性をある程度入れたのは、2つ理由が考えられる。

ひとつは国際的圧力。国連から勧告を繰り返し出されるなど、日本政府は男女平等の国際潮流を受け続けてきた。アベノミクスをぶちあげた経済大国の首相なのに、女性差別大国と言われては国際舞台でいい格好したくてもできっこない。潮時だった。

もうひとつは、彼の悲願である改憲と原発推進を実行に移すためだろう。改憲と原発推進のこの2課題、ともに男性より女性に受けが悪い。女性向けの陽動作戦が必要だった。

しかしながら、大臣の母集団となる国会議員に女性は余りに少ない。見渡せば、自分と同じ日本会議や神道政治連盟のお仲間だらけ。いくらなんでも、お友だちだけではまずい。そこで白羽の矢が立ったのが小渕と松島。急ぐ余り、ちゃんとした身体検査をしてなかったのだろう。

今回、注目すべきは、松島より小渕のほうだ。

小渕は、「小渕優子後援会女性部大会」という集いを、毎年、1000人規模で開いている。(続きはMore)

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「女性部」と聞いて、私は、昔、務めていた都立高校の労働組合女性部を思いだした。年1回の「女性部大会」というと、労働問題専門の弁護士の基調講演を聞いた後、小グループに分かれてワークショップをする、といった具合だった。私だけでなく、ごく普通に働いている女性の多くは、女性部というと、こういう場を想像するだろう。

ところが、小渕の女性部は、全く中身が違うようだ。地元群馬の女性支援者をバス――1号車から26号車まで――に乗せて、東京の明治座まで小旅行する。明治座で待っているのは、有名歌手や俳優が次々に出演するエンターテイメント。

今年は10月8日、水曜日だ。メインは天童よしみだったらしい。幕間に小渕優子が子連れで挨拶するのが慣例だが、大臣就任中の今年は現れなかったとか。女性部大会にもいろいろあるのだな、と驚くやら、情けないやら。

c0166264_22351340.jpgここでたしかなことがある。小渕優子の支援者には、派遣やパートで毎日働きづくめで水曜日に休めないような女性は、いなかっただろうということだ(働く女性の大半は、水曜日全日休みますなんて言えない)。

もっと驚いたのは、明治座に3384万円支払ったのに、観劇料として支援者から集めたお金は742万円だったということだ。その差、なんと2642万円。目が回るような大金だ。いったいどうしたのか。

小渕の政党資金疑惑をあぶり出したのは、報道機関だ。収支報告書や領収書をしらみつぶしに調べ、ベビー用品を事務所費にしたり、下仁田ネギを組織活動費にしたりというおかしな使い方を見つけた。アレッと思われるような品の多くは、姉の夫が経営する服飾雑貨店で買っていることもつきとめた。エライ!

毎日新聞10月20日には、さらに「小渕優子ワイン」が登場した。松島のうちわどころではない。

「群馬県内の70代男性によると、小渕事務所の地元秘書が今年、男性の自宅を訪れ、慶事の祝い品として、持参した箱入りの赤ワインと白ワイン各1本を渡されたという。いずれも720ミリリットル入りのボトルには、小渕氏のほほ笑む顔写真と『優しさ輝く日本の未来 おぶち優子』などと印刷されたラベルが貼られ、裏側のラベルには同県中之条町の地ワイン製造会社名などが書かれていた」

特注品と思われるワインは、贈答用の赤白セットで2600円なり。何の名目で、何本発注したのか。

さて、小渕優子は、父親の秘書になった1999年、自民党に入党。翌2000年、群馬県第5選挙区支部長となり、衆院選に初当選した。以来14年間、支部長をつとめる。そして、その群馬県第5選挙区支部には、国民の血税である政党交付金が毎年ウン千万円はいる。

小渕優子は、さきの選挙で、群馬県第5選挙区支部から1000万円の寄付を受けて選挙運動をしたという。まさか、ワインはここからではないでしょうね。

政党交付金は、目を覆わんばかりのカネが動いた過去の選挙の反省のもとに、制度化された。彼女のように有り余る資産に囲まれた候補者に対しても、国民ひとりあたり250円、総額320億円の政党交付金から、定期的にお金が流れる。今回のような小渕のカネの使い方を知って、政党交付金に大きな疑問や怒りを抱かない人はいないだろう。

さらに私が仰天したのは、10月21日付東京新聞だ。群馬県の小さな町の町長が突然辞任したという。

群馬県中之条町。町長の名は折田謙一郎。「私がチェックし、政治資金収支報告書を作成した」と言って、突然、辞表を提出して、今は行方不明だという。彼は、小渕優子と、その父・小渕恵三元首相の秘書を計30年以上務めた後、2012年1月、町長に立候補。無投票当選だった。

小渕優子の衆院選は2012年12月。彼は町長になった後も、小渕優子の選挙会計を仕切っていたのだ。このニュースに町民はさぞ怒っただろうなぁ。と思ったが、怒る人などあまりいないらしい。なぜなら、前の前の町長は、小渕優子の叔父だったというのだ。あ~。

政治とカネがらみの事件に性別などない。女性であろうと、野党であろうと、徹底して調べてすべてを明らかにすべきだ。

しかし、である。議会に女性を増やしていくことにブレーキをかけてはいけない。それとこれとは全く別だ。考えようによっては、2人がベテラン男性だったら、「わきをしめて」、ボロを出さなかったかもしれないのだ。

2012年の衆院選で当選した女性は38人だ。わずか8%だ。国際組織IPU(列国議会同盟)の2014年10月1日付け調査によると、この日本の女性割合は、世界189カ国のうち162位だ。

あ~。これを書きながら、何回、ため息が出たことか。ほんとに疲れた、もう、寝ます。
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by bekokuma321 | 2014-10-21 23:27 | その他