女性副大臣が進める「認知症にやさしい町」

c0166264_22105294.jpg「あなた、私をいくつだと思っているんですか」

保健・ケアサービス副大臣になってほしいと依頼された時の彼女の第一声だという。

その女性はアストリッド・ヘイベルグ・ヌックルビュ(Astrid Nøklebye Heiberg 保守党)。ノルウェーで今、最も注目されている政治家の1人。当年とって78歳だ。

ヌックルビュは、精神科医、政治家、そしてフェミニスト。同性愛は病気ではないという声明文策定にかかわるなど、長年、ノルウェー人権確立に向けて活動してきた。

私は、1990年ごろ、彼女がかつてオスロ市長候補として選挙を闘っていたとき一度取材したことがある。政治的指導者に女性を増やす必要性を、力強く語ってくれた。

こうしキャリアを活かし、今、彼女は保健・ケアサービス大臣ベント・ホイエを支え、高齢者の医療・介護・福祉政策に辣腕をふるう。

「あなた、私をいくつだと思っているんですか」と言った彼女だが、次々に注目すべき政策を出してきては、若い人の多いノルウェー政界に新風を巻き起こしているかのようだ。

ヌックルビュ副大臣は、モス市の認知症対策に注目した。2015年までに国の認知症政策の強化をまとめあげるための一環だ。

モスは、ノルウェー南部のエストフォル県の港町。人口3万人ちょっと。“認知症にやさしい町“と言われている。市長は、認知症のひとたちと共存できる市をめざす。市長は男性だが副市長は女性で、市議会の41%は女性議員。

認知症の具体的政策に向けて、市長自らがスコットランドに出向き、ヨーロッパでもっとも称賛をあびているスコットランド認知症プログラムを学んで帰ってきた。認知症の大激増が予想される近い将来に向け、モスに住む認知症患者やその近親者が孤立せずに暮らせるよう、町全体を変えたいのだという。

ヌックルビュ副大臣は、皆が夏休みをとっている7月末、モスに足を運んだ。

認知症をわずらう患者当人、看護師、市の認知症チーム・コ―ディネイター、市長や副市長などに直接会って、話を聞いた。自分と同年配の車いすの女性と談笑する写真が新聞に載っていた。当事者の声を吸い上げてはじめて生きた保健・ケアサービス政策が可能になる。つまり78歳の彼女こそ、政策推進の最適任者といえよう。

報道によると、モスの認知症チームは、認知症患者にかかわるすべての職員やボランティアたちに認知症の人たちとどのように関わればいいかの教育訓練を充実させてきた。

c0166264_22372459.jpgすでにモスには、“認知症にやさしいショッピングモール”ができている。そのモールにある30店舗の職員は全員、認知症患者が店に足を踏み入れたとき、とまどったり、わけがわからなくなっても、やさしく対応しながらサービスが受けられるように、職員向け訓練・教育を修了しているのだという。

訓練を修了した店舗には、市からの認証マークが提供される(写真)。肩にやさしく手をかけた2人が並ぶロゴマーク。「このお店は、認知症のかたがたにお手伝いできるよう訓練された店員を雇っています」と書かれている。

モスは、さらに消防署職員への訓練や、町のサッカークラブと提携した“思い出サッカ―クラブ”の推進など、具体策が着々と進められている。思い出サッカ―クラブとは、若いころの思い出を刺激する、認知症対策のひとつだという。

この小さな港町の試みを国全体に広げることができれば、ノルウェーはお年寄りが最も住みやすい国となるだろう。

そうなるかどうかは政治の動きしだいだ。だが、その第一歩は踏み出された。78歳の女性政治家によって。

約462万人もの認知症患者がいる日本。認知症患者を精神病院に閉じ込めている日本。学ぶべきことが、余りに多い。

Vil bruke Moss som eksempelby
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by bekokuma321 | 2014-09-15 22:22 | ノルウェー