2014年 08月 25日
ノルウェーのワーキング・マザー
ヘッレ・チュンは、大きなおなかをつきだしてパソコンに向かっていた。
私が訪ねたのは8月8日(金)の昼ごろ。8月初旬は、夏休み休暇を取る人が多く、彼女は1人でさまざまな仕事をこなしていた。午後1時半ごろ、男性職員が、「息子のサマースクールを見にいくので・・・さよなら」と、ヘッレにあいさつして職場から出て行った。
彼女が働くのはノルウェー・ジャーナリスト協会事務局。オスロの目抜き通りにある。
ジャーナリスト協会のフルタイム職員に雇用されて6年になる。その間、2度、妊娠出産。育児休業を取りながら働き続けてきた。
ヘッレは、この職場に移る前に3人の子どもを出産した。長女を出産したのは大学生の時だった。大学内の保育園(オスロ大学;写真下)に子どもを預け、がんばってきた。
現在15歳、13歳、10歳、6歳、1歳と5人の子どもの母親だ。
フルタイム勤務を安心して続けられるのは、誰もが比較的簡単に入れる保育園がたくさん整っていることと、パパ・クオータと呼ばれる父親育児休業があるからだ。
ヘッレの夫も、今、パパ・クオータ中だ。末っ子(1歳)の子育てと家事にいそがしい。申請した12週間(3か月だ)の育児休業は、もうじき終わる。
6人目の子の出産予定日は9月12日。ヘッレは、8月下旬から母親休業にはいる。そして1年間の育児休業をとった後、またフルタイム勤務に戻る。
ヘッレのようなワーキング・マザーの輩出を可能にしているのは、がっちりと整ったノルウェー社会のサポートシステムであるのは間違いない。そして、こうした女たちの存在が、ノルウェー経済を支え、ノルウェー社会を多様で豊かにしてきた。
それにしても、土台は、何といっても女性たちのやる気だ。フレーッ、フレーッ、ヘッレ!
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●下(More)はノルウェー在住の日本人「子育て体験記」
■本記事に関連してノルウェー在住のYuko Ringdal さんから8月25日にいただいた情報をご紹介する。
■■■■■■ノルウェー子育て体験記■■■■■■
こちらで驚いたことの一つは、子どもが生まれてから仕事の休みをとるのが非常に簡単だと言うことです。
子どもはしょっちゅう病気になります。昨日まで元気に遊んでいたのに、今朝になって急に熱を出してぐったりしていることは、よくあることです。そんなときに、職場に電話をかけて「すみませんが、子どもが病気になったので、今日は休みます」--これで、すべて解決です。
ノルウェーでは、職場にも子どものいる同僚は大勢いるので、簡単に理解してくれます。日本では「女性が子育て」という文化が根強いうえ、職場で働く女性もシングルで子どもなしという女性がまだ多く、子持ちの女性の気持ちを分かってくれないことがあります。さらに、日本の男性は子育てに関心がないでしょうし。
ノルウェーのようにいとも簡単に子どものために職場を休めるようになったら良いですね。
これからの長寿社会のためにも重要なことだと思います。
今、ノルウェーでは、教員のストライキが続いていますが、どうするかというと、学校に行けない子ども達はパパかママの職場に一緒に行くこともあります。
職場に子どもを連れて行っても、嫌な顔をされることはありません。子どもは、パパかママの手伝いをしたり、一緒にいられない時は、子どもの遊び場で遊んだりできるようになっています。
もちろんどのくらい子どもを連れて行けるかは、職場によると思います。私は2004年以来、ずっとシングルマザーですが、大学の講義を始め、色々なミーティングや職場にも小さな息子を連れて行ったことがありました。
日本もノルウェーのように融通が利くようなシステムが導入されたら良いですね。日本 ガンバレ!
Yuko Ringdal (ノルウェーのベルゲン在住)