2014年 08月 20日
教員ストに見た「北欧モデル」
ほんの少しの例外を除き、ノルウェーの学校はすべて公立だから、全土が影響を受ける。幼稚園から大学までだ。
ことの始まりは、だいぶ前のようだ。公立学校の管理側にあたる「ノルウェー地方問題局」(KS)が、「教員は一日7時間半、学校にいること」という新しいルールを出した。それに、教員組合代表は一端賛成して協議は終わった。
しかし、ノルウェーはすべてが当事者同士の話し合いで決まる。組合幹部が当局と決めても、重要な政策は、労働組合員1人1人が最終決定をする。
どうするか。労働組合は、インターネットで全組合員に「賛成」「反対」の投票機会を設けるのだ(写真右下)。組合員はチェックをするだけでいい。もちろん匿名だ。
つまり“国民投票”だ。たとえば、EU加盟がいい例だ。政府はEU加盟を決定したものの、国民が国民投票で「ノ―」を突き付けたため、ノルウェーはいまだにEUに加盟していない。
今回は、一般教員の7割以上が「一日7時間半、学校内に勤務すること」とする新ルール導入に反対の投票をした。
国の仲介役が中に入って双方の協議が続けられた。しかし歩み寄りはなかった。「教員が教員でありつづけられるかが、問われてる。絶対に譲れない」と労働組合員は語る。
どの県・市のどの学校がストに入るかは、教職員組合の幹部が決める。小学校はできるだけさける、などの対策はとられているようだ。
ノルウェーは、パパもママも共働きが当たり前だ。小さな子どもを持つオスロに住む友人はこう言った。
「教員が7時間半学校にいなければならないなんてバカげてる。労組の決定を支持する。でも、オスロは別組合なので今回ストに参加していない。正直、助かる。ストにはいる学校の子の親は『おばあちゃんに来てもらう』と言ってた」
夏休みが終わって新学期が始まったが、生徒たちの自宅学習は続いている。
首相アーナ・ソールバルグ(保守党党首)は、ストのなかった学校の新学期に顔を見せ、こうメディアに語った。
「教員のストは合法です。私たち政府が介入できることはありません」
教員ストに、ノルウェー民主主義の一端を見た。「北欧モデル」を今こそ日本は真剣に学ぶべきだと思う。
■Nei til avtale – lærerne går ut i streik
■Lærermytene
■5500 lærere demonstrerte i Trøndelag
■Dette må gjere inntrykk på KS
■Utdanningsforbundet
◆世界一民主的な国
◆世界一民主主義の国はノルウェー、日本は22位