都議へのセクハラ研修を

「マリ子が、議員だったころを思い出した」

「三井さんが野次られて20年以上になりますが、変わってないんですね」

「恥ずべき男性都議。21世紀にまだいるんですね」

先週から、こんなメールがいくつか私に届いている。東京都議会のセクハラ野次の報道が、国内外で報道されたためらしい。報道関係者からも、私が都議だったころのセクハラについて取材を受けた。

c0166264_2221234.jpg
                  (東京都議会本会議場)

20年以上を経て、都議会には、いまだに女性を侮辱してうさをはらそうという男性議員がいることに、強い憤りを覚える。野次の主は無論のこと、周辺で笑って同調した議員たちも同じだ。ここまで事が大きくならなかったら、塩村議員がなぜ涙を浮かべたかに思いを寄せることなどなかっただろう。

セクハラは、多くの場合、地位が上にある男性から、下にいる女性に対して行われる。「この女にはこのくらいのことをしてもどうってことない」と、たかをくくって行う、実に卑劣な行為だ。今回の場合、同じ議員同士だったが、彼は、数で彼女を圧する男性に属している。しかも、与党多数派の自民党だ。そのパワーバランスが、セクハラを生みだす温床となる。

セクハラ野次をとばした議員、それを許容した議員は自分の行為を反省し、謝罪してほしい。さらに都議会は、彼らはむろん、全議員に対して何がセクハラなのか、なぜセクハラをしてはいけないのか、などセクハラ研修は急務だ。セクハラは働く女性に意欲を失わせたり、女性の人間としての尊厳を奪う、女性への暴力なのだ。職場で、セクハラに泣く女性たちはおびただしい数に上る。

議会で働く女性の場合、議会質問において、ジェンダーやセクシュアリティにかかわる政策テーマはやめておこう、という委縮効果となる。それが、社会にとってどれだけ損失かは言うまでもない。
c0166264_23172288.jpg
    (2011年熱海町議選。女性候補は1人。これでは女性議員は増えない)

さて、都議会の野次について、過去の実例を紹介したい。拙著『ノルウェーを変えた髭のノラ』(明石書店、2010)最終章「100年遅れを挽回するには」から引用する。 【続きは左下More】







1988年ごろの、東京都議会。

私は、質問に先立って、東京都庁の上級幹部に女性が1人しかいないこと、都議会に女性が7%しかいないことを指摘した。

「皆さん、想像してみてください。もしもこの壇上の横に並ぶ理事者席の1人を除いて全員が女性だとしたら…」
すかさず「誰も会議に出ねーよ」と大声のヤジが飛んだ。
「もしも、私の目の前の127議席中118名が女性で、9名が男性だとしたら…」
「気ぃもちワリィ!」という大声が飛び、笑いの渦が巻き起こった。
都側の答弁の冷たかったこと。私は「女性差別を監視し、男女平等を進めるために、東京都に男女平等オンブズマンを新設すべきだと考えるが、どうか」など質問をした。答弁はすべて「検討いたします」だった。そんな答弁に、「よーく言った」のヤジが飛び、ガッハッハッハと自民党席が盛り上がった。

1990年代の都議会予算委員会でのヤジはこんな具合だった。

私「買う人がいなければ、買春、売春はありえません。買う側へ東京都がどのように対応してきたかお答えください」
ヤジ「旦那はどうした。あんたの旦那は」
ヤジ「社会党に男はいないのかぁ、男はぁ」
私「(女性の体の一部を性的に扱った都のポスターをさして)これらに対して女性たちから抗議がきていますが、その抗議の趣旨とそれへの東京都のご意見を教えてください」
ヤジ「イヒヒヒヒ。芸術だ。芸術を禁止するようなことはファッショだぁ」
私「ミス東京の賞には、都知事賞、都議会議長賞がございますが、時代は変わってきました。このままの形で、都が後援を続けてゆくのは問題ではないでしょうか」
ヤジ「ミスター東京をやればいいだろう」
ヤジ「野球だって相撲だってみーんな勝負するんだぁ」
ヤジ「いろいろ言っても、応募者がいるんだから仕方ないだろうが(大笑い)」
ヤジ「こんな質問して。おいッ、議運(議会運営委員会のこと)で問題にするからな」
ヤジ「やってらんねえよ(私の質問の最中に退席)」

下品なヤジがほぼ1時間も議場に乱舞した。傍聴したアメリカの知人が、翌日電話をかけてきた。

「あなたの質問も、お役人の回答も全然聞こえなかったのよ。ねぇ、日本の議会って、議員はお酒を飲んでいてもいいの?」

友人は、あまりの品のなさ、行儀の悪さに、酔っ払いのたわごととでも思わなければ理解できないと言った 。彼女と一緒に傍聴したアメリカの政治学者は「野蛮(BIG SLOB)! まぎれもないセクシュアル・ハラスメントだ」と吐き捨てた。

都議会予算委員会の席上、私は予算の使われ方について質した。都民の貴重な税金を使って、女性を「性の対象」として描いているポスターをつくったり、女性を外見でしか判断しないようなミスコンテストを後援したりするのはおかしい、というのが、私の主張だった。それに対して、このようなヤジが飛んできたのだ。

質問のあと、女性団体からばかりでなく、一般都民からもミスコンへの公費支出に苦情が多数寄せられた。

「東京都がミスコンにお金出しているなんて初めて知りました。それに都知事がわざわざ審査委員として出て、優勝者に王冠をかぶせているなんて。バッカバカしい!」

「今まではきれいなんだからいいじゃない、と思っていたんだけど、考えてみたら審査員は全員男性で、“寝てみたい女だ”とかいった目で見ているんだよね。そういうことに、僕は初めて気づきました」

===
こうして約20年前を思い出すと、「セクハラ行為はしてはならない」と法律で禁止すべきだと思う。雇用機会均等法11条はセクハラ規定だが、単に事業主にセクハラ防止をしなさいと促しているだけにすぎない。


都議会セクハラ野次を放置するな
全国フェミニスト議員連盟 都議会セクハラ発言への抗議
Tokyo assemblywoman subjected to sexist abuse from other members
[PR]
by bekokuma321 | 2014-06-25 22:36 | その他