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父の日に

今日は父の日。

やれウィスキーだ、やれブランド腕時計だ、やれゴルフグッズだと・・・父親にプレゼントを贈る日みたいだ。

でもなぁ、これでは、日本のパパは、ますます伝統的親父役割から抜け出せないではないか。

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北欧諸国は育児休暇が長い。家で赤ん坊のめんどうをみるため、働く人たちは職場での仕事を免除される。女性は仕事と家庭を両立できるし、父となった男性はパパとして育児家事の大切さを身をもって知る。

ノルウェーの親しい友人Helleは、育ち盛りの子5人の母親だ。上が14歳、下が1歳になったばかり。1年余の育児休暇を終え、4月から職場に戻ってフルタイムで働いている。すると1歳前の娘のおむつやミルクは? 4月からは父親(Helleの夫)の出番だ。今、彼が育児休暇をとって、家事・育児に専念している。彼は有給で会社から育児休暇をとれるのだ。

ノルウェーの育児休暇は、80%有給59週間、または100%有給49週間だ。ママでもパパでも、全労働者に保証されている。

そのうち14週間はパパしかとれない。これが「パパ・クオータ」だ。昨年まで12週間だったが、2週間延びて、現在は最大14週間保障される。父親たちは、育休をとって家にいて子どもとすごすことによって、人のケアの重要性を知る。もちろん無上の楽しさも。

少し古いニュースだが、北欧の国際会議で発表された調査によれば、「男女平等の家庭は、子どもへの暴力が3分2少ない」(2012年6月)という。

調査研究をしたのは、オスロ大学教授ウイステイン・グルボーグ・ホルスター(Øystein Gullvåg Holter)。男性役割研究の第一人者だ。彼はこう言っている。

「家庭が男女平等に近いと暴力が生まれにくい。これは、驚くほどはっきりと出ました。学歴の違い、離婚の有無、いじめを受けたか否かなど、他の要素をすべていれたクロス集計から明らかになりました」

さて、神奈川県厚木市の保護責任者遺棄致死容疑事件。りくちゃんは白骨遺体で発見された。りくちゃんが、父親である斉藤容疑者に言った最後のことばは「パパ、パパ」だった。

りくちゃんの母親は齋藤容疑者からの暴力が原因で家出・別居していて、彼はシングルファーザーだったようだ。

児童虐待の最たる事件だ。ただ、この事件を他人事とは思えない男性もいるはずだ。育児や家事は妻に任せっぱなしで、仕事・付き合い・スポーツにあけくれる男性があまりにも多いからだ。夫がいても、「うちはシングルマザーよ」と言う女性も多い。子どもを虐待したり暴力をふるう加害者は母親が多いのだが、父親不在が要因のひとつだ。

日本の男性は世界で最も家事をしない、とレッテルをはられている。最新の調査では、日本の男性の家事時間は1日62分だった。配偶者は300分。ノルウェーを見ると、男性は1日180分で、配偶者は210分。

ホルスター教授の研究をあてはめると、日本は子どもに対する暴力がきわめて多い国かもしれない。

日本のパパがもっとパパらしく、子どもや家族と過ごせる時間を持てるような、そんな社会になったらいいな…と父の日に考えた。

Pappaperm: Look to Norway
Gender equality reduces violence
Lønnen er likest i nord
Mannsprisen 2013 gikk til professor i kjønnsforskning Øystein Gullvåg Holter
世界で最も家事をしない男性は日本人

【写真:パパの育児休暇中、パパのひざに乗って甘える2人の子ども。この時はママもそばに座っている。ママは公務員、パパは会社員のノルウェー知人家庭で】
by bekokuma321 | 2014-06-15 22:39 | ノルウェー