5月17日はノルウェー憲法生誕200年

c0166264_23244765.jpgノルウェーは、5月17日、憲法記念日だった。全土でいっせいに子どもたちが憲法を祝ってパレードをする日だ。子どもの日と言ってもいい。大人たちも、伝統衣装ブナ―ドでドレスアップしてお祝いをする。

何年か前、オスロの王宮前広場で憲法記念日を取材した。

オスロでは、小学生や保育園児たちが、王宮に続くメインストリートから延々と王宮まで歩く。校旗を掲げた代表を先頭に、学校ごとに隊列を組んだ生徒たちは、国旗を振り、バルコニーで待つ王室一家の真下まで来たら立ち止まって上を見上げる。

「王さま、元気ですか!」。小さな手に握った小さな国旗を振り振り、バルコニーの王に向かって大きな声で話しかける。王室一家は、手をふってそれに応える。バルコニーにガラスはついてないから、ガラス越しではない。

広場には来賓席があって、バルコニーに最も近い最前列に座っていたのは、隣国スウェーデンから来た重いハンディを持つ車いすの子どもたちだった。「招待されたんです」と私に言った。

国の最高法規である憲法は、子どもたちーー社会的弱者だーーのためにある、こう国をあげて叫んでいるようだった。

c0166264_23271990.jpg今年は日本で、ネットニュース動画を見た。

200年を迎える今年は特別だった。5月17日をはさんで何日間もお祝いが続くらしい。

ノルウェー憲法は1814年に制定されてから、400回以上修正されてきたという。それでもなお同一の憲法であると見なされているため、現行の憲法として欧州で最も古く、また世界でも2番目に古い成文憲法とされている(ノルウェー王国大使館)。

国会前では、首相、財務大臣がバースデーケーキを市民に切り分けてふるまった。首相も財務大臣も女性。政治家と市民の距離が近い国ノルウェーらしさが垣間見られた。

1814年、憲法草案が審議決定されたのはエイズボルという地。これまで何度も訪問した。全国から選ばれた役人、農民、軍人など112人がひとつの屋敷に寝泊まりして憲法草案をつくりあげた。もちろん男性のみだが、年齢の幅の多様さ、出身地の多様さ、職業の多様さは、19世紀初頭という時代を考えると驚かされる。

その歴史的地エイズボルでは、今年、盛大な行事が行われた、という。ノルウェーで最も敬愛されているシンガーソングライターの1人オーレ・パウスがあいさつした。彼のあいさつの中身がすごい。ダライラマを国賓として迎えなかった政府の姿勢を痛烈に批判したのだ。参加者は、わんわの大喝さい。目の前には首相はむろん、国王夫妻など内外からの要人がいた。

それを大々的に報道するメディアもノルウェーらしい。これぞ「人間は生まれながらに自由で平等である」というノルウェー憲法の精神だ。

さらにノルウェーらしいのは、この日に向けてノルウェー国民が望んできた政治的市民的権利が憲法に新しく加わったことだ。

ノルウェーの国会議員カーリン・アンデシェンKarin Andersen からのメールによると、子どもの権利、教育の権利、法の下の平等、公平な裁判を受ける権利、死刑の禁止、拷問や非人間的扱いの禁止などが憲法の権利として書きくわえられたという。彼女は左派社会党の国会議員で、「憲法委員会」のメンバーだ。

憲法改正案は、2009年から国会の常任委員会「憲法委員会」で審議を重ね、国会で決定された。その委員会の構成メンバーは、国会に議席を有する政党の割合によって数が決められている。労働党3、保守党2、進歩党2、キリスト教民主党1、中央党1、自由党1、左派社会党1、緑の党1の合計12人だ。

国会議員わずか1人の緑の党からも1名が委員会に参画している。数が少なすぎる超ミニ政党でも代表を出せるル―ルがあるのだろう。

そもそも、選挙が比例代表制だから、日本の小選挙区制とは異なり、大きな政党も、小政党もそれなりに代表を出せるしくみになっている。それによって、国会はより民意に反映された議席構成となっている。日本と根本的に異なるのはここだ。

日本の国会の憲法審査会は50人。これで討論ができるのかというほど多い。うち31人、62%が自民党だ。議席を減らした社民党の議員は1人もいない。日本でも改憲論が続いているが、自民党は、自衛隊を国防軍に変え戦争できる国にしよう、家族の相互支え合いの義務、など、ぞっとするようなアナクロ案を出している。

国会の憲法審査会を嘆いていたら、事態はもっとひどいことになってきた。好戦的な首相が私的諮問機関をつくり、その人たちで憲法を勝手に解釈して市民に押しつけようとしているのだ。憲法は風前のともしびだ。

https://www.stortinget.no/grunnloven200
200 år og et blikk mot framtida
Grunnlovsjubileet 1814-2014
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Folket jublet da Erna fikk Dalai Lama-refs
Hovedkomiteen for Grunnlovens 200-årsjubileum
Norway prepares for party of two centuries
2014年 <ノルウェー憲法制定200周年>
Eidsvoll 1814

【写真上:Helle Cheungの息子 下:Grete Bergetの娘】
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by bekokuma321 | 2014-05-21 23:43 | ノルウェー