大臣を訴えて勝った平等コミッショナー

5月8日、ドイツで、度肝を抜かれるような裁判があった。

c0166264_1435414.jpgドイツ連邦行政裁判所第5法廷は、省内の行政トップの任命をする際に、大臣は、前もって平等コミッショナーに相談すべし、という判定を下したのだ。

日本の裁判体系と違い、ドイツでは、地方自治法、選挙法、警察法、公務員法、交通法、教育法、建築法等の公法関係の事件は行政裁判所で扱われるという。ベルリンにある連邦行政裁判所は最終審なので、この事件はこれで終わりだ。

訴えていたのは、クリスティン・ローズ・メーリング(59)という家族省の平等コミッショナー。

誰を訴えたのか? 驚くなかれ、自らの最高任命権者である家族省大臣を訴えたのだ。

訴えの内容は、家族省の3つの重要ポストが男性で占められているが、その任命前に平等コミッショナーに相談しなかったというもの。提訴は2012年。

日本人の私は、つい心配してしまう――大臣を“敵に回して”、自らの首は大丈夫だったのか、省内でいじめはなかったか、左遷覚悟の決死的行動ではなかったか。

でも、そんな心配はまとはずれらしい。彼女は2001年からずっと平等コミッショナーだ。

ドイツ誌によると、彼女のポストは、省内職員による投票制で決まる。投票権は、男性職員にはなく女性職員だけ。彼女は連続3回当選している。国家公務員の人事が投票で決まるなんて、これまた驚きだ。

ちなみにドイツは、首相も女性、家族省大臣も女性だ。家族省は男女平等を扱う部署であり、現大臣はマヌエラ・シュヴェーズィヒ(社会民主党)。メーリングが訴えた当時のクリスティナ・シュレーダー(キリスト教民主同盟)とは異なり、男女平等推進の切り札である「クオータ制」の推奨者でもある。

現在、同省のトップの51.6%が女性で占められている。

しかし、平等コミッショナーのクリスティン・ローズ・メーリングは、「まだ改善の余地がある」と語ったと、報道されている。

日本の行政機構とシステムがずいぶん違う。どのようにしたら、このようなシステムができるのか、興味津津だ。


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by bekokuma321 | 2014-05-14 14:47 | ヨーロッパ