ノルウェー女性運動、バックラッシュに勝つ

c0166264_13341627.jpg妊娠中絶するかしないかは女性が決める、というノルウェーの制度が守られそうだ。

ノルウェー保健・ケアサービス省ベント・ホイエ大臣は、金曜日、総合診療医(GP 注)は病院に照会しない権利を持つ、とする新政策を変更する、と発表した。

GPの照会なしには病院にかかれない。すると、女性は中絶できなくなってしまいかねない。この新政策は、女性たちの怒りをかった。

保守党のホイエ大臣は、この中絶問題に関して、そもそもGPが拒否できるという新解釈に、前は反対だったと報道されている。彼は同性と既婚しており、ゲイの権利の積極的擁護者でもある。

「妊娠中絶を必要とする女性をGPは病院へ照会することを拒む権利がある」との主張は、政権と閣外協力を組むキリスト教民主党から出された。保守政権の担当大臣として、ベント・ホイエは、賛成の立場をとった。しかし昨日、再び以前の考えに戻したといえる。NRKは、記事に「反対ー賛成ー反対 Mot – for – mot」という見出しをつけた。

妊娠中絶を決めるのは、女性自身ではなく医師になってしまう、これは、歴史を前に戻すバックラッシュだ、内閣にバックラッシュ政策を強行させたら大変だ――こう考えるノルウェー人は女性に限らず非常に多かった。

3月8日の国際女性デーには、オスロをはじめノルウェー各地で、何十万人というデモ行進が組織された。「新政策に反対である」という意思が全土をおおいつくした。私の友人たちは、70年代の女性運動を思い出させたとメールをくれた。

全国の自治体からも、党派を超えて反対ののろしがあがった。ノルウェーは、国会に限らず地方の首長・議員も所属政党を旗幟鮮明にして選挙を闘うので「A市は労働党、B市は保守党」と色分けできるのだが、保守党首長の53人が公然と反対に回った。政権をゆさぶる勢いだった。

今回の保健・ケアサービス大臣の変更は、女性たちの運動の盛り上がりがなければ、ありえなかっただろう。

ノルウェーは政治にコミットする市民が男女問わず多い。それは、このように市民の声が確実に政権に影響を与えられるからだろう。日本は、多くの市民がいくら声をあげても(時には死を賭して反対しても)、こうした政策変更はきわめてまれだ。それが、政治への無関心層を増やす。ったく、いたちごっこだ。

Ble kuppet av KrF, snudde Høyre om
En seier for det folkelige engasjementet!(3月8日国際女性デーのデモに集まった人、ひと、ヒト)
妊娠中絶の権利、大論争に
ノルウェー国際女性デ―、例年にない高まり

[注 General practitionerは総合診療医。日本には制度がない。イギリスをはじめヨーロッパの国々にある制度。救急を除いて、すべての人がまず地域にいるGPにかけつけ診療を受ける。この一次的医療を受けなければ、総合病院にはかかれない。GPは必要に応じて病院で受診できるようは紹介をする義務を負う。妊娠中絶も同じで、まずGPに行く。ノルウェーの医療は無料で歯科を除きすべて公費で賄われる]

[写真は、ノルウェーの友人から贈られた妊娠中絶の権利獲得運動の缶バッジ。70年代のもの。これと同じものが、2014年3月8日にも使われた]
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by bekokuma321 | 2014-04-26 13:48 | ノルウェー