非正規雇用労働者として働いたフェミニスト

c0166264_20343922.jpg示村冬子さんの訃報が、大阪の友人たちから届いた。突然だったのですごく動揺した。

示村さんの生前を思い出す。

私は、大阪府豊中市の男女共同参画センターすてっぷで英語教室を開いていたことがある。その教室に入学した生徒の中に示村さんがいた。英語のヒアリングやスピーキングに加え、世界の女性たちのニュースを英語で読んだりするレッスンだった。示村さんは、さぼらず真面目に最後まで通った。

根っからのフェミニストで、豊中駅前の喫茶「フリーク」の常連さんだった。私の雇止め裁判には、かならず傍聴にかけつけた。というより、早めに裁判所前に到着しては準備に手を貸した。さらには、大阪高裁の塩月裁判長に、「陳述書」を書いて提出してくれた。私が最高裁で勝訴できたのは、示村さんのような働く女性たちからの陳述が、多数、裁判長に届いたからだと思っている。

示村さんに電話すると、お酒飲み最中のことがしょっちゅうだった。こっちの言うことを聞いてくれるはずがないとわかっていても、「お酒、飲み過ぎよ!」と言ったっけ・・・。

示村さんの「陳述書」は、裁判を支援する会のサイトに公表されている。非正規労働者の不公平な働かせられかたに強い怒りを表わす、いい文章だ。ここに、心からの敬意をこめて転載させていただく。

三井マリ子

■■■非正規雇用労働者として働いて  示村冬子 (2007年12月5日)■■■

私は今、大阪府下の信用組合でパート労働者として働いて12年半になります。この信用組合は出資金46億7千万円、預金高2014億円の信用組合としては大手の会社です。

何が一番情けないかというと、長年働いて、経験をつみ仕事もこなせるようになっても、賃金は時間給のままで、その時間給もまったく上がらないことです。

また、パート労働者を会社は、「パートの女性は夫がいて、家計補助か自分の遊ぶ小遣いをつくるためだろう」との固定観念をむき出しにします。

その上、研修や教育も受けさせないのに、一人前の仕事を要求し、クレーム(私たちの責任でない場合も多々ある)があると、「担当者は誰?」などといってパートである私たちの責任にしようとする上司の言葉には絶句します。

私たちパート労働者は、会社側と何回も契約更新を繰り返してきています。にもかかわらず、会社は、形式的な雇用契約書を半年毎に取り交わし、「いつでも契約期間が満了したら会社の都合で解雇できる」ということをパート労働者に思わせています。同僚のパート労働者は本気でそう思わされています。

一人のパート労働者が、会社に乞われて正規社員と同じ労働時間を働くことになりました。社会保険の適用はされましたが、守備範囲はかなり多くなりました。正規社員と同じような仕事を同じだけさせられ、時間給はその前と同じ低額でした。彼女は、心無い上司に「ほかのパートさんと大して変わらないね、時間給稼ぎしているんじゃないの」と言われ、悔しさのあまり泣いていました。

私たち非正規雇用の労働者は、給与や待遇は一人前として扱われないのに、仕事は一人前の仕事を要求されています。そしてそのことを正規社員はなんとも思っていないのです。「使い捨てで、いつでも取替えの利く労働者」と思われているのが、とても悔しいです。

【写真上 撮影:岡橋時子】


館長雇止め・バックラッシュ裁判を支援する会
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【関西の友人たちと夕食会。前列中央でVサインをしている人が在りし日の示村さん】
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by bekokuma321 | 2014-04-02 20:48 | その他