違憲判決から考える格差なき選挙

7月の参院選は法の下の平等からして違憲だ。こんなスカーッとした判決が11月28日、広島高裁から出た。今後、全国47選挙区から次々に判決が出るらしい。朝日新聞などによる。

広島高裁は「投票価値の不平等は甚だ顕著だ。国会には選挙制度を抜本的に改革する責務があった」と無責任な国会を厳しく断じた。

選挙は民主主義の基本のキだ。その選挙の不平等をこれだけ司法から指摘されても、なお、なすすべのない日本の国会。どうしてそんな国会から国民のためになる政治が生まれよう。

しかし、1人1票の選挙が本当に平等かというとかならずしもそうとはいえないと私は思う。人口密度の低い過疎の県を代表する議員がいなくなる恐れがあるからだ。

ノルウェーやデンマークなど平等意識の高い北欧諸国は、比例代表制だ。比例代表制という選挙は、最も多くの票をとった1人しか当選しない小選挙区制より、はるかに平等原則に近い。比例代表制では、大政党は大政党なりに、小政党は小政党なりに当選者が出る。死に票が少ない。

そして、問題の選挙区の議席数は? 北欧諸国は、人口比だけでなく面積を加味して決めている。たとえばノルウェーは憲法がこう規定する(憲法だぞ!)。

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「各選挙区から選出される国会議員の数は、人口数と面積の割合をもとに換算される。1人が1ポイント、1平方キロメートルが1.8ポイント。この計算は8年ごとに数え直される」(ノルウェー憲法 第57条)

だから、首都オスロの候補は、極北の地フィンマルク県(上の写真)の倍以上とっても、当選におぼつかない。でも、そうしないと、国会はオスロ選出議員だらけになってしまう。地方自治が崩れてしまうだろう。今でもオスロは19議席、フィンマルクは5議席だ。

さらにその上で、北欧諸国にはアジャストメント議席というおもしろい制度がある。

ノルウェーの場合、国会の169議席は、19ある県と同じ区画の選挙区ごとに選ばれる。つまり19選挙区だ。投票が終わると、まず各選挙区で、その定数から1議席引いた数の当選者が選ばれる。残った1議席がアジャストメント議席だ。ノルウェーでは、平等化議席(utjevningsrepresentanter)と呼ぶ。

その平等化議席1をどの政党がとるか。その1議席は、選挙区で獲得した票を全国で合計し、その割合から計算して、各選挙区で選出議員数のもっとも少ない政党がもらうことになる。

言いかえると、平等化議席とは、カウント方法――修正サン・ラグ式――の関係で1議席もとれなかった政党のために、設けられた特別な議席だ。

当選者は、比例代表制だから、政党の候補者リストの上から順番に決まる。ほとんどの政党は、リストを決める際、男、女、男、女と男女交互に並べるクオータ制をとる。つまり、女性は全国で全体の4割ぐらい当選する。

c0166264_22461981.jpg世界には、こういうふうに工夫に工夫を重ねている国がたくさんある。それなのに、日本の選挙は何なんだ。

もっと言えば、平等に大きく反するのは、日本の悪名高き供託金だ。衆議院候補は300万円、納めなくてはならない。投票数の10%をとらなければ没収される。こんな高額のお金を払ってまで、選挙に出ようという女性や若者がどれだけいるか。これでは、2世、3世、売れっ子タレントしか選挙に出るチャンスはない。

そうそう、北欧の友人に供託金と言っても通じなかった。

そのほか・・・あれとかこれとか。でも、今夜は、これで、おやすみなさい。

【写真上:冬はマイナス50°まで下がる、極北の地フィンマルク】
【写真下:平等化議席のおかげで当選したヘードマルク県の左派社会党カーリン・アンデシェン議員、2007年の国会議員選挙】

◆比例代表制は女性や弱者が当選しやすい
http://frihet.exblog.jp/20789791/
◆世界一民主的な国
http://frihet.exblog.jp/19256560/
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by bekokuma321 | 2013-11-29 23:09 | ノルウェー