アラブの反女性判決を覆した外交力

異国で禁固刑を受けたノルウェー女性が、やっと母国に帰還した。先週のニュースだ。

ことの発端は、今春の中東ドバイ。カタールの国際的会社に勤務するノルウェー女性マッテ・ダーレル(24)は、ドバイに出張。そのホテルで強姦にあった。

彼女は、現地の警察に強姦被害を訴えた。しかし、あろうことか、被害者である彼女は、パスポートを取り上げられたうえ、監獄に入れられた。

そして、この7月中旬、イスラムのシャリア法は、彼女に対して「婚姻外の性交と、飲酒の罪状」で1年4カ月の禁固刑を言い渡した。

強姦被害を実名でメディアに公表することは、ノルウェーでも珍しい。しかし、マッテ・ダーレルは、被害事実や判決内容、そして控訴する意思をノルウェーメディアに公表した。

ノルウェーメディア、外務省、旅行会社、学者、人道団体など多くのノルウェー人が、彼女に呼応して、ドバイの判決に抗議の声をあげた。

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ノルウェー外務大臣もただちにアラブ首長国連邦に抗議した。それに対し、ノルウェーの宗教学者から、「外務大臣の抗議は弱い。ドバイは、女性の人権を侵害していると公式にもっと強く抗議すべきだ」という批判があがった。

こうした中、旅行会社は、ドバイへのすべての旅行商品を中止した。「マッテ・ダーレルへの連帯の意味です。彼女の訴えを尊敬します」と。ドバイは、ノルウェーの人気の観光スポットで、多くのノルウェー人が旅行に出かける。

それだけに終わらない。マッテ・ダーレルは、ドバイに留め置かれていた時、カタールにある勤務先の会社The One から、「解雇を言い渡された」。理由は「著しい非行であり、会社の方針に反する」というものだった。

こちらも、いま、いい方向に動き始めている。The Oneのオーナーが、「彼女の解雇は完全に間違っています。法的手続きが終了次第、彼女の意思次第で、職場に戻れるようにします」とメディアに公表した。

異文化のはざまで翻弄された一人の女性。彼女を救った最大の力は、彼女自身の強い意思だ。しかし、ノルウェーのメディアの精力的記事が社会を動かしたように私は思う。それによって、政財界、学界、市民から迅速な抗議の動きがまきおこり、アラブを動かす外交力となったのだろう。

もし彼女が日本女性だったらどうだったか。考えるだに恐ろしい。

【写真は、事件を精力的に報道したノルウェー国営放送局NRKの幹部たち。女性が非常に多い。本写真は今回の事件報道と直接関係はない】

◆Toppsjefen seier det var feil å gi Marte sparken
http://www.nrk.no/nyheter/verden/1.11147780

◆強姦被害者自身が訴え出よう
http://frihet.exblog.jp/17142617/
◆NRKとNHK--報道における女性
http://frihet.exblog.jp/17018798/
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by bekokuma321 | 2013-07-30 14:46 | ノルウェー