2013年 06月 04日
国をあげての論争「パートタイムかフルタイムか」 ノルウェー
日本では、橋下徹大阪市長。問題発言は、「戦時中、慰安婦は必要だった」。女性の人権など屁とも思わない超時代錯誤の発言に、強い抗議と非難があがっている。
一方、ノルウェーの発言の主は、同国最大の労働組合である連合LO代表。問題発言は、「女性もパートタイムではなく、フルタイムで働くべきだ。女性は母親役割morsrollenを弁解に使ってパートに逃げるな」。
低賃金・不安定な非正規に女性がゲットー化しているのが日本だ。女性雇用者の54.7%にのぼる。私なら、「よくぞ言った」と拍手喝さいする。
連合代表が「母親もフルタイムで」と言えるだけのサポートシステムがノルウェーにはある。なんといっても労働時間が短い。さらに日本と違って希望すればだれでも保育園に入れる。さらに、さらに、育児休暇制度がすごい。100%有給で49週間か、80%有給で59週間かのどちらかを選べる。そのうち14週はパパ用だ。
しかし、ノルウェーは、今、LO代表のこの発言をめぐって、さまざまな政党から、賛否の声があがっている。党首たちは、労働と家庭の両立、女性の生き方選択の自由、親が子どもと過ごす時間などのテーマから持論を展開。秋に国政選挙が控えているからか、熱がはいる。メディアも、多くの紙面をさいて両論を連日、丁寧に紹介している。
この問題発言の主、ノルウェー連合代表は、ゲル・クリスチャンセンGerd Kristiansen。北部ノルウェーの農家生まれ。17歳で、シングルマザーとなり、バレンツ海のトロール船で働き続けたという。
そう、実は、ノルウェーの連合代表は、女性である(↓)。
驚くことはない。ノルウェーでは、労働組合への女性の入会率は年々増えて、全組合員の52.1%は女性となった。男性より多いのだ。
報道によると、クリスチャンセンは、若いころ、遠洋で船事故にあって「海の女」をあきらめた。その後、精神病院の準看護師となり、労働組合運動に心血を注ぐようになっていく。たたき上げの労働者だ。LO代表に就任した彼女の、最優先課題は、女性のパートタイムを減らし、男女ともにフルタイムで働く社会にすること。この方針にそって、さっそくぶち上げたのが、今回の発言だ。
ところで昨年、企業をたばねる経営者連盟NHOの代表も女性となった。日本でいえば、経団連会長が女性ということだ。これで、9月の国会議員選挙で女性が首相になれば――その可能性は高いらしい――、社会の三大分野のトップがすべて女性となる。
ノルウェーに新たな女性の時代の到来! 日本も、右翼男性にかじ取りをまかせては、何もいいことはない。
◆http://www.newsinenglish.no/2013/05/30/lo-leader-accused-of-bullying-moms/
◆http://www.aftenposten.no/nyheter/iriks/politikk/--Kvinner-bruker-morsrollen-som-unnskyldning-for-a-ta-ansvaret-hjemme-7214455.html#.UacChUBhjzg
◆http://www.newsinenglish.no/2013/05/07/new-labour-boss-makes-history/
◆http://www.aftenposten.no/7141641.html
◆http://www.lo.no/
◆世界一民主的な国
http://frihet.exblog.jp/19256560/
◆最も再犯率が少ない国ノルウェーで、今
http://frihet.exblog.jp/19375625/
◆シングル・マザー、107倍の難関に合格
http://frihet.exblog.jp/14936134/