ドイツの町のジェンダー規定

ニューヨークタイムズ記事によると、ベルリン近郊のクレウズベルグには、珍しい「町づくり規定」がある。

道路や公園に新しく名前をつける際、男女が同数になるまで、女性の名前をつけなくてはならない、というものだ。

先ごろ、ユダヤ博物館に新しい教育センターができた。そのセンターの前の広場に名前をつけなくてはならない。圧倒的多数で推薦されたのは、モーゼス・メンデルスゾーンという18世紀の偉大な哲学者の名だ。ユダヤ人の啓蒙主義の先駆者で、カントの批判哲学を批判した人物なのだという。そう、音楽家メンデルスゾーンの祖父でもある。

ところが、クレウズベルグのジェンダー町づくり規定は厳しかった。偉大な哲学者の名を退けたのだ。男性だからだ。

その後、喧々諤々の議論が始まり、女性の詩人、作家、参政権運動家、教員などが推されたものの、賛成多数に至らなかった。どうにも決まらず、妥協案として出たのは彼の妻、フロメット・メンデルスゾーンだ。妻の名を最初に掲げ、夫モーゼスをその後につけることに決まった。一説によると、彼女は、単にメンデルスゾーンの妻というだけではなかった人物らしい。しかし、ちょっと滑稽ではある。

クレウズベルグ区議会議長で緑の党のクリスティン・ジャートはこう語る。

「町の通りに名が掲げられるような男性と同じく偉大な、作家であろうと、成功をおさめた芸術家であろうと、女性であることで無視されてきたのです。それは間違いありません」

ドイツの緑の党は、日本とは違い、地方議会に大きな政治勢力を持つ。町のサインを男女均等にする政策を進めてきたのも、この政党だ。

ミュンヘン、マインツ、ハンブルグにも同様のジェンダー平等の町づくり規約があるという。男女平等の意識は、こうした具体的なことから養われてゆくのかもしれない。

◆Street-Level Change, a Name at a Time
http://www.nytimes.com/2013/04/27/world/europe/26iht-germany26.html?src=recg&_r=0
◆緑の党の全政策に女性の視点を
http://frihet.exblog.jp/18064542/
◆ベルリン「女の街」が元気
http://www009.upp.so-net.ne.jp/mariko-m/Berlin.htm
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ベルリンの副市長時代、女性が働き安い都市計画づくりに力を入れたクリスティン・バーグマン(左)に取材する筆者。
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by bekokuma321 | 2013-05-03 20:36 | ヨーロッパ