半世紀前の米大使館書簡

c0166264_91178.jpg憲法9条の趣旨から米軍駐留は違法であり、基地内に入って逮捕されたデモ隊の7人は無罪。こんな目の覚めるような判決があった。1957年の伊達判決だ。

しかし、この伊達判決は、最高裁によって覆された。「高度の政治判断」というふざけた理由だった。

ところが、だ。当時の最高裁長官田中耕太郎が、アメリカ駐日首席公使と会って、「全会一致で最高裁判断をする」などと判決前に打ち合わせをしていたことが公文書で明らかになった。ひどい話だ。

関連情報はすでに得られていたものの、今回、公文書そのものが初めて公開された。元山梨学院大学教授の布川玲子さん(法学者)が米国立公文書館に開示請求して入手したという。布川さんの粘り強い調査力に感謝する。

機密扱いとされていた文書は手紙。アメリカ大使館から米国務長官あてに出された。伊達判決がいかに安保条約反対の市民運動を喚起しているかを示す表現もある。

その文中、以下の英文が非常に重要だと思った。拙訳をつけて紹介する。

Chief Justice added he hoped Court’s deliberations could be carried out in manner which would produce substantial unanimity of decision and avoid minority opinions which could “unsettle” public opinion.

「最高裁判断は、裁判官の意見が実質的に全員一致になるようにとりまとめ、世論を“不安定にさせる”少数意見を回避するよう望んでいる、と最高裁長官は加えた」

裁判官の少数意見は、市民運動を活発にさせることを示唆している。そうした世論の喚起を事前に押さえつけるためには、判決は全員一致でなければならないとしている。

最高裁不当判決後も、この問題は、農地を勝手に奪われた農民・住民や、安保条約に反対する学生たちのシンボル的運動として生き続けた。いわゆる「砂川闘争」だ。その後、70年代になって、米軍は土地を日本に返還した。大学生だった頃、私は、「アンポ ハンタイ」のシュプレヒコールとともに、「砂川闘争支援運動」も続いていたことを思い出す。

アンポは改定された。しかし最高裁全会一致判決であっても、世論を押さえつけることはできなかった。
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by bekokuma321 | 2013-04-08 09:29 | USA