最も再犯率の少ない国ノルウェーで今

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ノルウェーは、今秋9月が国政選挙だ。解散はない。4年に1回、オリンピックのようにやってくる。

ぼちぼち候補者の氏名が印刷されたリストが公表されだした。政党は、3月末までに、各選挙区における定数以上の候補者を決めて、そのリストを選挙管理委員会に提出しなくてはならない。リストとは、政党別の候補者名簿であり、投票用紙そのものでもある(最下の写真)。

選挙の政策論争はすでに始まった。

今年は犯罪問題への対応が大きな争点となりそうだ。世界が注目する“最も再犯率の少ない国ノルウェー”の受刑システムが、政策テーマになっている。

先日、政権奪還を狙う保守党が、「外国人の刑務所をノルウェー人とは別に造るべきだ」と言いだした。部屋と食糧を与えるだけで、他のサービスはする必要がないという主張だ。最も右派に属する進歩党は「厳罰主義」が持論だ。当然、保守党の提案に賛同する。こうした提案に現政権を握る、労働党は不快感を示す。

背景には、外国人の犯罪が増えていることや、リハビリテーション中心で自由度が驚くほど高いノルウェーの受刑システムがある。

ノルウェーの人権意識がしのばれるような受刑システムは、未来への提言「世界一囚人の少ない国からの報告」(NHK)でも報道された。出所したらあなたの隣人として暮らせるように――これがノルウェー刑務所の目標だ。

これに加えて、刑務所の閉鎖や改築が議論に上っている。閉鎖の対象は、30人以下の受刑者しか入れない小規模刑務所らしい。

「あなたの町の刑務所は閉鎖です」と発表された自治体の住民は、喜ぶどころか、反対の声を上げているのも、おもしろい。

オップラン地方のイエヴィックGjøvikは、1862年の昔から、町と刑務所は共存共栄関係にあるという。この町の自慢は、学校や保健施設が、刑務所と連携しながら、受刑者のリハビリに協力し、類まれなハイレベルのリハビリテーションを続けてきたことだ。関係者は、「スモール イズ ベストです」と、刑務所の大規模化に反対である、と報道されている。

これから半年以上かけて、政策論争が続く。もしも、保守党が政権をとれば、受刑システムに変化が生じることは確実だ。


http://www.aktuell.no/NFF-magasinet/article6125139.ece
http://www.thelocal.no/page/view/norway-needs-separate-jails-for-foreigners

■再犯率の最も少ない国の刑務所
http://frihet.exblog.jp/17985465
■禁固21年判決とノルウェーの犯罪制度
http://frihet.exblog.jp/18396961/
■投票期間なんと2ヶ月半、ノルウェー国政選挙始まる
http://frihet.exblog.jp/11935320/
http://www.domstol.no/upload/OBYR/Internett/Diverse/Engelsk%20Tinghuset%20brosjyre%20WEB.pdf

【上の写真は、オスロの目抜き通りにあるオスロ裁判所】

(クリックすると大きくなります。オスロ選挙区の保守党リスト:表)

(クリックすると大きくなります。オスロ選挙区の保守党リスト:裏)




受刑システムとは関係ないが、先日、豊中市のセミナーで関心を呼んだノルウェーの投票について追加すると・・・。

上にあげたオスロの保守党リストを見ると、1番は、元党首の男性(ゲイであることを初めて公表)。2番は女性。3番、4番は男性、5番、6番は女性だ。

保守党はクオータ制に反対だ。反クオータ制の政党ですら、ほぼ男女が半々ずつ、リストに並んでいることを強調したい。

前回、オスロ選挙区の保守党当選者は4人だった。当選者は、順番に、1、2、3、4番目の候補だった。通常は、そうなる。しかし、かならずしも上から順番に当選とも限らない。番狂わせもある。番狂わせができるのは、有権者だ。

どうするか。あなたが、1番目の候補を3番にしたかったら、名前の左はじにある、小さな空白に3番と書けばよい。5番目の女性を1番に当選させたかったら、1番と書けばいい。逆に、右はじの空白にバツ(x)をすると、その候補者を削除したいという意思表示ができる。

政党の決めたリストの順番を、有権者は変えることができるのだ。

代理議員制度もおもしろい。4番目の次、つまり5番目の候補者は、代理議員として、国会議員が免職の場合、ただちに国会議員として控えている。ピンチヒッターだ。彼女は、フィリピンからの移民で、10代から保守党青年部で活躍してきた。

与党の場合、大臣になると国会議員と兼務が認められないため、代理議員の出番は非常に多い。
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by bekokuma321 | 2013-02-23 16:56 | ノルウェー