ノルウェー女性参政権100年から考える

c0166264_16371927.jpgノルウェーは、1913年、女性に参政権を与えた。世界で最も早く女性が参政権を得た国のひとつだ。

2013年の今年は、ノルウェー女性参政権100年だ。国をあげて「女性と政治参加」の催しが行われる。まず首相が、年頭、こう口火を切った。

「100年前の1913年、我が国の新しい1章が始まった」「今は当たり前だと思っている、参政権。それを要求して闘った女性たちを皆で祝おうではないか」。

フェルナンダ・ニッセン。首相が紹介した闘った女性のひとりだ。ニッセンは、1889年、マッチ工場で働く女工たちのストライキを先導した。女工たちは、賃上げ、労働条件改善、勤務時間の短縮を求めて蜂起した。

c0166264_1249275.jpgさらに、ニッセンは、労働党に入党し、党の婦人部のなかで、女性参政権獲得に尽力した。女性は政治に向かないという当時の考えに、「まったくのナンセンス」と反論した。

ニッセンが反論した男性国会議員の意見はこういうものだった。「女性には男性にはない別の使命がある」「女性が投票するようになると家庭崩壊を招く」など、など(明石書店『ノルウェーを変えた髭のノラ』 p55-64)。

こんな馬鹿げた発言を、国会の憲法委員会委員がくそまじめな顔でしていたと思うと、本当にこっけいだ。世界有数の男女平等国ノルウェーも、100年前はこうだったのだ。

しかし、今のノルウェーは違う。ノルウェー国会に座る議員の4割近くが女性だ。その国会に、女性参政権100年を祝う特別委員会が創設された。4年前の2009年だ。4500万円の特別予算も組まれた。そこが、2012年11月まで女性参政権100周年記念企画を全国公募。今年、受賞者・団体たちのアイデアが、国家予算を得て、ノルウェー全土に展開される。「女性参政権100年」のホームページで、どこでいつどんなイベントがあるか、すぐわかる。

c0166264_16274227.jpgさて、我が国はどうか? 女性が参政権を得たのは、第二次世界大戦後の1945年だ。翌1946年、衆議院選挙に初めて89人の女性が立候補し、39人が当選した。

その一人、和崎ハルは秋田県から当選した。市川房枝とともに、戦前から女性参政権を求めて闘った女性運動家だ。

昨年12月の衆院選に挑戦した私は、秋田県内の演説会で、この和崎ハルの選挙運動や政策を紹介した。

和崎ハルについて、私は、20年以上も前から、女性の政治参加を進める講演などで紹介してきた。でも、秋田の有権者を前にした今回ほど力がはいったことはない。

当時、秋田の女性には字を読めない書けない人が多かった。そうした有権者に向かって和崎ハルは驚くべき戦術を考えた。「ハルのハは、おじぎするときの手の格好です。その右手をちょんと跳ねるとルになります――こう、和崎ハルは、ジェスチャーをして訴えたのです」(写真)。

当選して、彼女は、「腰巻き議員」とやゆされたという。秋田の農家の貧しい女性たちが、もっとも欲しがっていた「腰巻き」用の布の予算を国会で訴えたからだ。和崎は、男性議員には決して見えないモノを見る目、それを持っていた。

日本中に、和崎ハルのような“武勇伝”が転がっているに違いない。日本の女性参政権100周年は2045年だ。おおいに祝い、当時の女性たちの闘いぶりを顕彰してほしい。その原典は、私の愛読書、岩尾光代の手になる力作『新しき明日の来るを信ず』(NHK出版)にすでにある。

あ、私は草葉のかげだなぁ。

◆Prime Minister Jens Stoltenberg’s New Year Address 2013
http://www.regjeringen.no/en/dep/smk/Whats-new/Speeches-and-articles/statsministeren/statsminister_jens_stoltenberg/2013/prime-minister-jens-stoltenbergs-new-yea.html?id=710868
◆Stemmerettsjubileet
http://www.stemmerettsjubileet.no/

【写真上は、日本初の女性参政権の啓発ポスター。中央は、オスロの公園にあるフェルナンド・ニッセンの胸像。下は、1999年、京都で和崎ハルの講演する三井マリ子。「ハルのハ」のジェスチャーをしている。講演中をふじみつこが撮影したもの】
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by bekokuma321 | 2013-02-04 16:40 | ノルウェー