2012年 10月 05日
イスラム風刺漫画を擁護する女性作家
彼女は、表現の自由賞受賞者であるサラ・アズメ・ラスムッセン。
ラスムッセンは、1973年シリアに生まれ、1995年ノルウェーに亡命。宗教的理由による政治亡命だった。現在、社会問題と性転換問題(注)について活発な評論活動をしている。
栄えある表現の自由賞受賞で挨拶する彼女の写真がネットで公開されている。男ものの背広を着ている。熱心なゲイライツ(同性愛者の権利)擁護者だ。
彼女を有名にしたのは、2009年国際女性デーにおいて、オスロの若者広場で自分の身につけていたヒジャブを焼き捨てたアクションだった。次いで昨年、イスラム・カウンシルの前で、イスラム教がゲイに死刑罰を与えていることに抗議するハンガーストライキをやってのけた。
さらに、ダマスカスからノルウェーまでの長くつらい旅路を、自伝的に表した小説を出版した。「暴力、性的虐待といった辛い経験をした子ども時代を書くのは苦しいことでした。でも、この辛さこそ、作家として距離を持って、この問題を見つめることなのです」と彼女はインタビューで語っている。
こうした、宗教に対する批判、表現の自由、正義への妥協のない勇敢さによって、今年、ノルウェー表現の自由賞を受賞した。
そんな彼女が、先月、大問題となったフランスの風刺週刊誌「シャルリー・エブド」Charlie Hebdoに連帯の意思を表明したい、と述べた。
いわく――「東対西の問題とか、イスラム教対キリスト教とかの軋轢ではありません。ドグマ対民主的精神の問題なのです」
イスラム系ノルウェー人から発せられた、勇気あるイスラム批判を、イスラム社会はどう受け止めるだろうか。
◆http://www.aftenposten.no/kultur/Sara-Azmeh-Rasmussen-far-Fritt-Ord-prisen-6804129.html
◆http://morgenbladet.no/samfunn/2012/mitt_navn_er_azmeh
◆http://www.fritt-ord.no/en/priser/category/fritt_ords_pris/
◆http://www.thelocal.no/page/view/norwegian-blogger-posts-muhammad-cartoon
(注) このテーマの理解を助ける著作物が、日本でも出回っている。その優れた著作の1つが、『トランスジェンダー・フェミニズム』 (田中玲著、インパクト出版会)