50代を前向きに生きていけそうだ:『ノルウェーを変えた髭のノラ』を読んで

c0166264_2228698.jpg 『ノルウェーを変えた髭のノラ』(明石書店)を読み終えた。よくぞここまで一つひとつ自分の足で歩きながら調べ上げたものか、と心から感心した.

私は元々唐突な物言いの性質なのだが,辛口の批判は何処を押しても出てこない。筆者はノルウェー語も読解できるようだとわかって、素晴らしい、の一言だ。

毎日、少しずつ読んだ。読んでる最中は本来こうあるべきだと心から賛同しながら夢中でのめり込んでいる自分がいた。

しかし、本を閉じた時に、目の前の繰り広げられる日本の現実に向き合い、その落差にドーッと落ち込んでしまった。その繰り返しの日々だった。この気持ちは一体どこからくるものなのか暫く考えた。

解ったことはノルウェー社会と日本のそれがあまりに差があるということがまずある。しかし、それ以上に、実際に筆者が取材した人々(ノルウェーでは普通の人でも,日本で考えると普通ではないのでは)と,読者である私自身の力の差が歴然としすぎているという点だ。

つまり、少しずつ、例え自分なりのゆっくりとしたペースでも,日本の中で男女平等問題にかかわっていきたいと思う人には,いざとなるとどういった動きをとればよいのか,手も足も出ないというのが正直なところではないか、と思えるのだ。

さらに、この本には、他の著書のさらなるデータでもってノルウェーの事情を伝えており、私のように平等問題に関心のある人に対する「行動手ほどきマニュアル本」では必ずしもないらしいことだ。その点を私は求めすぎていた。

本当に日本の女性は動きづらい。子育て中は子供を学校に通わせているだけではなく,結局教育は子供と共に走り貫かなくてはこの日本社会では生き残っていけない。一人親だったので,なおさらだった。一人親だからこれしかできなかったとは自分で言い訳はしないと心に決めての20余年だったので、本当に死に物狂いだった。

とはいえ、自分の両親が近くに居てくれたので,これでも日本の多くの働く女性の中では恵まれたほうだ。

子育てが終わってホッとすると,今度は親の介護。これが,私自身の現実だ。だから,平等問題に強い関心があっても,実際の行動に結びつかないのが多くの日本女性の現状だ。

せめてもの抵抗で,息子はノルウェーのO-fagや男女平等の本などを参考にしたりしながら育てたため,とても平等意識のつよい人になったと思う.

この本を読んで,またHDIの高いノルウェー,オーストラリアに友人が多いことで,子育て後の50代を前向きに生きていけそうな気がしてきた。

原 三枝子
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by bekokuma321 | 2012-08-13 18:43 | ノルウェー